ICカード 【IC card】 スマートカード / smart card

概要

ICカード(IC card)とは、プラスチック製カードに極めて薄い半導体集積回路(ICチップ)を埋め込み、データの記録や処理、外部との入出力などをできるようにしたもの。外部との入出力方式の違いにより接触式と非接触式がある。

カード内に半導体メモリを内蔵し、数KBキロバイト)から1MBメガバイト)程度のデータを記録することができる。内蔵メモリ素子が読み出し専用ROMチップの場合は書き換えできないが、フラッシュメモリを採用したものは専用の装置で記憶内容の追加や上書き、消去ができる。簡易なCPU処理装置)を内蔵して暗号化などの処理が可能なものもある。

記録や通信暗号化認証アクセス制御によりデータの不正な読み取りや改ざんを防ぐことができるため、磁気ストライプなどに比べ偽造や変造が困難で安全性が高いとされる。記憶容量が大きいため単純な識別番号などの他に様々な情報を記録・送受信することができ、一枚のカードに複数の機能を持たせる汎用カードを作ることもできる。

日本では「ICカード」の呼称が広く浸透しているが、英語圏では “IC card” という表記はほとんど用いられず、 “integrated circuit card” とICを略さずに記すか、“smart card” (スマートカード)あるいは “chip card” (チップカード)の呼称の方が一般的である。

接触式ICカード

接触式ICカードはカード表面に平たい金属端子を備え、読み取り装置側の端子に接触させることにより通電し、回路駆動用の電力供給と信号の送受信をう。

端子の物理仕様などの基礎的な技術仕様はISO/IEC 7816として標準化されており、これに基づいて各業界がデータの記録や送受信などに関する個別の標準規格を定めている。主に従来の磁気ストライプカードに代わってクレジットカードやキャッシュカードなどに用いられるほか、携帯電話SIMカードUIMカード)や、日本ではETCカードやデジタル放送の受信者識別カード(B-CASカード)にも採用されている。

非接触ICカード

非接触ICカードはコイル状のアンテナを内蔵し、読み取り装置からの無線電波による電磁誘導で電力を発生させ、電波無線通信う。

ソニーなどが推進する日本のFeliCaフェリカ)、蘭フィリップス(Philips)社(現NXPセミコンダクターズ)などが推進する欧州のMifare(マイフェア)が早くから浸透しており、両者を併記したNFC(Near Field Communications)がISO/IEC 18092として標準化され、広く採用されている。

カードと機器を接触・固定する必要がないため、交通機関のICカード乗車券やカード型電子マネーなど、極めて短時間での処理や手続きが求められる用途でよく用いられる。日本では運転免許証(ICカード免許証)、個人番号カード(マイナンバーカード/接触式端子と併用)、パスポート(IC日本国旅券)などにも採用されている。

(2019.2.4更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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