バックホール【backhaul】
概要

バックホールは、ネットワーク構造における「アクセス系」と「コア系」の間に位置する中間的な階層である。アクセス回線が個々の端末や基地局と接続する末端の区間を指すのに対し、バックホールはそれらを束ねて上位の基幹網へと集約する区間を担う。通信トラフィックの量や求められる品質に応じて、有線・無線を問わず様々な伝送方式が採用される。
携帯電話網(移動体通信網)では、街頭や建物の屋上などに設置された無線基地局と、コアネットワークとの接続点となる拠点施設を結ぶ固定回線網を「モバイルバックホール」という。光ファイバーによる有線回線が一般的であるが、山間部や島嶼部、光ファイバーの敷設が困難な新興国などではマイクロ波を使った大容量の固定無線回線が用いられることもある。
第5世代移動通信システム(5G)の普及に伴い、基地局のアンテナ部と信号処理部が分離される構成が増えており、この両者を結ぶ超低遅延な回線は「フロントホール」(fronthaul)として区別される。5Gが要求する超高速・多数同時接続を支えるため、より大容量で高効率なモバイルバックホール網の整備が各事業者で進められている。
大規模なWi-Fiネットワークでは、構内の有線ネットワークスイッチと各所の無線アクセスポイントを結ぶ回線をバックホールと呼ぶことがある。ギガビットイーサネットなどの有線ケーブルが主に用いられるが、配線が困難な場所ではアクセスポイント間をWi-Fi通信で相互接続するメッシュWi-Fi構成のように、無線でバックホールを構成することもある。また、通信事業者の基幹回線網などの場合には、海底ケーブルの陸揚げ局と事業者の通信拠点を結ぶ大容量の中継回線のことをバックホールと呼ぶ場合がある。
(2026.6.21更新)