アドホックネットワーク【ad hoc network】

概要

アドホックネットワークとは、固定的な中継機器を用いずに、端末同士が相互に直接接続して構成される一時的なネットワーク無線アクセスポイント基地局を介さず、参加機器が自律的に接続関係を形成し、通信を行う仕組みである。“ad hoc” とは「その場限りの」の意。
アドホックネットワークのイメージ画像

一般的な無線通信システムでは、Wi-Fiアクセスポイントルータ移動体通信サービスの基地局など、固定的な中継設備が用いられ、無線端末は中継装置とのみ無線で交信する。中継装置が他の端末や固定系ネットワークへの通信の取り次ぎを行う仕組みになっている。

一方、アドホックネットワークでは各ノード(端末兼中継装置)が中継機能を担い、隣接するノードを経由して通信が行われる。直接通信できない遠くにあるノードとも、途中にあるノードがバケツリレー式に多段中継を行うことで通信可能となる。このような仕組みを「マルチホップ通信」という。ノードの参加や離脱が随時発生するため、経路情報は動的に更新され、分散的な制御が行われる。

固定的なネットワークに比べノードの移動や電源状態により通信経路が変化しやすく、安定した帯域の確保が難しい場合がある。端末が移動するたびにネットワークの構成が変化するため、最適な経路を動的に探索し続けるルーティングプロトコルの設計も難しい。経路探索のための制御パケットが増えると通信効率に影響が出ることもある。中心的な管理システムが存在しないため、認証アクセス制御の設計が複雑になりやすい。

アドホックネットワークが特に有用とされる場面として、災害時の救助活動や紛争地に展開する軍隊など、インフラが整っていない環境での迅速な無線通信環境の構築が挙げられる。電源や通信設備が失われた被災地や紛争地でも、端末さえあればネットワークを即座に構築できるため、応急的な通信手段として注目されている。

他の辞典等による「アドホックネットワーク」の解説 (外部サイト)

資格試験などの「アドホックネットワーク」の出題履歴

▼ ITパスポート試験
令4 問62】 アドホックネットワークの説明として、適切なものはどれか。
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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