ミリ波 【mmWave】 millimeter wave / mmW

概要

ミリ波(mmWave)とは、電磁波の分類・区分の一つで、波長が1~10mm、すなわち周波数帯が30~300GHz電波。短距離の無線通信や物体を検知するセンサー(レーダー)などに用いられる。

電波の中では性質が光(可視光)に比較的近く、直進性が高く空気中の水蒸気などに吸収され減衰しやすいなどの特徴がある。無線として空中で発信、受信する方式の他に、導波管や光ファイバーを伝送媒体として有線での伝送をう場合がある。

他の電波のように屋外で遠距離の無線通信や放送をう用途には向いておらず、あまり活用されてこなかったが、近年になって自動車の周囲の障害物を検知する車載レーダー、空港などで危険物の検知に用いるボディスキャナー、至近距離の無線映像伝送、5Gモバイル通信の高速伝送方式などに応用されるようになっている。

ミリ波に隣接する電磁波の区分として、波長10mm(1cm)以上とミリ波より波長が長い(周波数が低い)ものを「センチメートル波」(centimeter wave/センチ波)、1mm以下と短いものを「サブミリ波」(submillimeter wave)という。サブミリ波はその一部にテラヘルツ波(波長約0.3mm以下)を含み、そちらの方がよく知られている。

ミリ波レーダー (ミリ波センサー)

ミリ波帯の電波を周囲に発し、反射波を検知して障害物の位置を把握する装置をミリ波レーダー(millimeter wave radar)という。

送信アンテナから発したミリ波帯の電波が物体表面で反射して戻ってくる様子を受信アンテナで検知し、数十mから100m程度までの距離にある物体の距離を測定することができる。連続的に探査を繰り返すことで物体との相対速度を求めることもできる。

ミリ波の性質は可視光に近いものの電波であるため、光に比べて探査空間中の水分や外光の影響を受けにくく、悪天候や夜間、外光の強い射し込み、急激な明るさの変化(晴天時のトンネル出入り口など)などの状況でも安定して周囲の状況を観測できる。

各国の電波規制の状況から、現在は主に77GHz帯のミリ波を用いるレーダーがよく用いられる。交通量調査用の観測装置などとして実用化されており、自動車の衝突防止装置や自動運転車などが前方の障害物を検知するレーダー装置としても研究・開発が進められている。

(2022.2.20更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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