ISMバンド 【Industrial, Scientific, and Medical radio band】 ISM band
概要
ISMバンド(Industrial, Scientific, and Medical radio band)とは、電波の周波数帯のうち、国際的な取り決めにより産業(Industry)・科学(Science)・医療(Medicine)用の機器が免許不要で自由に利用できるよう開放されている周波数帯のこと。現代では電波は主に通信や放送など信号の伝送を目的に使われる。電波の利用は法制度によって規制されており、混信を防ぐため、原則として免許を取得して政府から割り当てを受けた周波数帯域を使わなければならない。
電波を産業や科学、医療など電気通信以外の用途で応用できるようにするために、国際電気通信連合(ITU)によって無線通信との競合を気にせず自由に使える周波数帯としてISMバンドが規定された。いくつかの種類に分かれており、全世界で共通して使用できるものと、特定の地域(ITUは世界を第1地域~第3地域に3分類している)でのみ使用できるもの、国によって受入状況が異なるものがある。
この周波数帯を用いて、電子レンジによる加熱、電力の無線送電、工業や科学研究におけるプラズマ生成などが行われている。また、免許や登録が不要で自由に発信できる周波数帯として、リモコンやラジコン、トランシーバー、ワイヤレスマイク、RFID(無線タグ)、非接触ICカード、アマチュア無線、無線LAN(Wi-Fi)、Bluetooth、ETC(DSRC)などの通信用途にも利用されている。
6.765~6.795MHzから244~246GHzまで用途や特性の異なる様々な周波数帯が指定されているが、よく知られるのは2.4~2.5GHz帯(電子レンジやWi-Fi、Bluetoothで利用)で、単にこれを指してISMバンドと呼ぶこともある。近年では5.725~5.875GHz帯が高速な無線LAN伝送規格(IEEE 802.11axなど)などで広く利用されるようになっている。
(2023.5.16更新)