携帯電話番号ポータビリティ 【MNP】 Mobile Number Portability / モバイルナンバーポータビリティ

概要

携帯電話番号ポータビリティ(MNP)とは、携帯電話(移動体通信)サービスで、加入者が契約先の通信事業者を切り替えても、切り替え前の電話番号を維持することができる仕組み。

携帯電話市場は固定電話とは異なり、1990年代末の本格的な普及の初期から複数のキャリア間で激しい競争が行われてきたが、電話番号が事業者(キャリア)に紐付いていることにより、既存の加入者がより有利な契約を求めて他社に乗り換えるのを阻害する状況が生じていた。

携帯電話の普及率が急上昇し新規加入者が減っていく中、より公正な競争環境を実現するため、2006年10月に番号ポータビリティ制度が開始され、同じ電話番号を維持したまま他のキャリアの契約に切り替えることができるようになった。

ただし、日本では携帯電話端末をキャリアに紐付ける「SIMロック」が行われていたため、端末は移行先で使える機種に買い直さねばならなかった。また、日本独自に広まった携帯電話端末による電子メール送受信サービス(いわゆるキャリアメール)も、キャリアが加入者に割り当てる電子メールアドレスキャリアメール)のドメイン名部分がキャリア所有のものであるため、乗り換えると取り直しとなった。

このような日本固有の事情もあり、当初は同時期にMNPを開始した各国のようには事業者間の移動は進まなかった。しかし、2010年代に入るとSIMロックの解除やSIMロックフリー端末の普及、MVNO仮想移動体通信事業者)の新規参入が進み、加入者の乗り換えが活発になった。

同時期に、旧来の携帯電話端末(いわゆるガラパゴス携帯電話)からスマートフォンへの切り替えが進み、キャリアメール以外の通信・連絡手段が広まったことや、2021年からはキャリアメールの切り替え先への持ち運び制度がスタートしたことにより、以前よりは気軽に乗り換えが行われる状況になっている。

(2025.1.19更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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