準天頂衛星システム 【QZSS】 Quasi-Zenith Satellite System / みちびき
準天頂衛星とは
地上の同じ地点の上空に常に留まる衛星軌道には「静止衛星」があるが、これは赤道上空にしか投入できない制約があり、地上から見ると緯度が高くなればなるほど仰角が下がる(水平線に近くなる)ため、地形や建物に隠れやすく利用しにくい。
「準天頂衛星」は地球の自転と同じ公転周期で周回するが、赤道面に対して傾斜した楕円軌道を通り、ある経度の上空で南北に「8」の字を描くように周回する。8の字の一方の輪がなるべく小さくなるような軌道を取ることで、この輪の間にいる間はその地域の天頂付近に留まっているように見える。
とはいえ、もう一方の輪を周回する期間はその地点から大きく離れるため、同じ機能を持つ複数の衛星を同じ軌道の離れた位置に置くことで、入れ替わりに上空付近に飛来するよう運用する。数機の衛星を一体的に運用することで、常に天頂付近に最低一基は留まるようにすることができる。
みちびき
日本の準天頂衛星「みちびき」は1号機が2010年に打ち上げられ、2018年からは4基体制で運用されている。日本の天頂付近に長時間滞在し、東南アジア、オセアニアを周回する8の字軌道に投入されている。
これらはGPSと互換性のある信号を発しており、代用として用いることでGPS衛星が見通しにくい場所で精度を向上させることができ、測位までの時間も短縮することができる。また、国土地理院の電子基準点のデータを利用した独自の高精度の信号も発信しており、専用の受信機を用いることでセンチメートル単位の極めて正確な測位を行うことができる。
(2024.9.9更新)