指紋認証 【fingerprint authentication】
概要
指紋認証(fingerprint authentication)とは、人体の固有の特徴を利用して本人確認を行う生体認証(バイオメトリクス認証)の一種で、手の指先の皮膚に走る浅い溝のパターン(指紋)を利用する方式。最も普及している生体認証方式である。指先の腹にある指紋の形が人により(一卵性双生児でも)異なることは古くから知られており、昔から犯罪捜査や出入国管理、印鑑の代用などで広く用いられてきた。コンピュータを用いた方式では、指紋を移した像を画像処理や一定の計算によって特徴を表す符号列に変換し、あらかじめ記録しておいた本人のものと比較・照合する。
指先を触れるだけなので装置を小型化でき、安価に導入できる。データサイズが小さく多人数が利用するシステムに適している。歴史が古く数十年に及ぶ研究開発の歴史があるため、技術的な完成度も高く認識精度も高い。
ただし、皮膚の物理的な凹凸を読み取るという原理上、摩擦や薬品の影響などで指紋が薄れたり失われた場合に利用できなくなるほか、不特定多数が利用する機器のセンサー表面に指を触れるのを心理的・衛生的に嫌がる人もいる。
指自体や触れたものから指紋を読み取ってシリコンなどで形状を再現する偽装方法もあり、厳格に運用するにはセンサーに触れたものが生体か否かを確認する手法と組み合わせる必要がある。その場合でも、本人が眠っている間などに指を触れさせる攻撃は防ぎようがない。
指紋認証は出入国管理や決済サービスの本人確認、携帯電話などの利用者認証などに採用されている。似た方式として、手のひら全体の皺(手相)を利用する掌紋認証や、指先の内部の静脈の形状を利用する指静脈認証がある。
(2018.7.16更新)