ITU 【International Telecommunication Union】 国際電気通信連合
概要
ITU(International Telecommunication Union)とは、情報通信に関する国際標準の策定などを行う国際機関。国際連合と協定を結ぶ専門機関の一つ。本部はスイスのジュネーブ。1865年に前身機関の一つである国際電信連合(International Telegraph Union)が、1906年にもう一つの前身機関、国際無線電信連合(International Radiotelegraph Union)が設立された。1932年に両機関が合併しITUが発足した。1947年以降は新たに設立された国際連合の機関の一つとして活動している。
主に有線の電気通信技術の標準化を行う電気通信標準化部門(ITU-T)と、無線通信の技術標準の策定や周波数資源の調整などを行う無線通信部門(ITU-R)、途上国の通信インフラの開発援助などを行う電気通信開発部門(ITU-D)などの部局がある。
ITU-T (電気通信標準化部門)
主に有線の電気通信に関する技術の標準化を担当する部門をITU-T(ITU Telecommunication Standardization Sector)という。古い文書ではITU-TSという表記も見られる。技術標準を審議・策定し、ITU-T勧告(recommendation)として発表している。
勧告は技術領域に応じてAシリーズからZシリーズまで25種類(Wシリーズは存在しない)に分類されており、通信回線の伝送システムや伝送媒体などについて定めたGシリーズや、動画や音声の圧縮形式やテレビ電話などについて定めたHシリーズ、ネットワークシステムについて定めたXシリーズなどが有名。
1993年にそれまでの「国際電信電話諮問委員会」(CCITT:Comité Consultatif International Téléphonique et Télégraphique)を改組して発足した。
ITU-R (無線通信部門)
主に無線通信技術の標準化や電波周波数の割り当てなどを担当する部門をITU-R(ITU Radiocommunication Sector)という。
無線通信に関する技術標準をITU-R勧告として発表しているほか、無線利用についての基準や規則の策定、無線周波数の割当や調整、人工衛星軌道の調整などを行っている。
1993年にそれまでの「国際無線通信諮問委員会」(CCIR:Comité Consultatif Internationale des Radiocommunications)および「国際周波数登録委員会」(IFRB:International Frequency Registration Board)を統合して発足した。
CCITT (国際電信電話諮問委員会)
現在のITU-Tの前身で、1993年まで有線の電気通信に関する技術の標準化などを行なっていたITU内の部局をCCITT(Comité Consultatif International Téléphonique et Télégraphique)という。IT分野ではインターネット普及の初期にアナログモデムなどの通信機器の準拠規格の標準化機関だったことでよく知られている。
1956年に電話の標準化を行なうCCIF(Comité Consultatif International Téléphonique)と電信の標準化を行うCCIT(Comité Consultatif International Télégraphique)が統合して発足した。
Gシリーズ勧告
ITU-Tの標準規格の勧告のうち、伝送システムやデジタル通信に関するものは「G.xxx」という形式の規格番号を与えられ、Gシリーズと総称される。音声のデジタル符号化や伝送(G.7xxシリーズ)や、SONET/SDH関連、ISDN関連、DSL関連(G.99xシリーズ)などの規格が含まれる。
Hシリーズ勧告
ITU-Tの標準規格の勧告のうち、音声、動画、マルチメディアに関連するものは「H.xxx」という形式の規格番号を与えられ、Hシリーズと総称される。動画の圧縮符号化の方式(H.26xシリーズなど)や、テレビ会議システム(H.32xシリーズ)などが含まれる。
Tシリーズ勧告
ITU-Tの標準規格の勧告のうち、ファクシミリ(FAX)、ビデオテックス、JPEGといった情報通信(テレマティックサービスと称している)関連の規格を定めたものは「T.xxx」という形式の規格番号を与えられ、Tシリーズと総称される。
Vシリーズ勧告
ITU-Tの標準規格の勧告のうち、既存の加入電話網を利用したデータ通信を行うための規格を定めたものは「V.xxx」という形式の規格番号を与えられ、Vシリーズと総称される。アナログモデムの信号処理方式や誤り訂正プロトコルなどについて規定されている。
Xシリーズ勧告
ITU-Tの標準規格の勧告のうち、データ通信網に関するものは「X.xxx」という形式の規格番号を与えられ、Xシリーズと総称される。パケット交換についての規格、ディレクトリサービスの規格などが含まれる。デジタル証明書のX.509が特に有名。