ChatGPT 【チャットGPT】
概要
ChatGPT(チャットGPT)とは、米オープンAI(OpenAI)社が運営するAIチャットボット。同社のGPT(Generative Pre-trained Transformer)言語モデルを用いて、人間と対話的にテキスト(文字情報)のやり取りをできるようにしたサービスである。基本的な機能は無料で、高度な機能は有料で提供されている。GPTは大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)の一つで、機械学習システムを用いて大量の自然言語(日本語や英語など人間が使う言語)の文書を学習し、文章の理解や生成、要約、翻訳といった様々な自然言語処理を行う能力を持つ。
ChatGPTはこれを用いて利用者がAIとオンラインで対話的に文字情報のやり取りを行うことができるサービスで、人間が他人に話しかけるように文章で問いかけると、内容を解釈して人間が返すような自然な文章を生成して表示する。類似のシステムに比べて極めて自然な文章を生成することで大きな話題となった。
別の言語への翻訳、長い文章の要約、議論における一般的な論点の抽出など、様々な言語的なタスクをこなすことができるほか、プログラムコードの記述や誤りの指摘、歌詞や物語などの創作、専門分野のテスト問題への回答など、人間の高度な知的活動を模倣しているかのような振る舞いが人々に驚きを与えた。
プロンプト
利用者がChatGPTへ入力する文字列を「プロンプト」(prompt)という。「小学生でも作れる簡単なお菓子のレシピを挙げてください」といった単純なものから、「以下の内容を要約してください。(以下数十行の長文)」といった長い内容のものまで様々な指示を行うことができる。
プロンプト次第で様々な回答を得ることができ、メールの文面を書いてもらう、ビジネス資料を与えて分析してもらう、ネーミング案を考えてもらう、企画案を列挙してもらう、スピーチ原稿を書いてもらう、設定を与えて物語を書いてもらう、英文のネイティブチェックをしてもらうなどの応用例がある。
同じ会話セッションの過去の内容を記憶しており回答に反映されるため、「あなたは面接官です。これから私が志望者となるので面接のロールプレイをしてください」といったように役割を指定し、設定に沿ったやり取りを何往復も続けるといった利用法も可能となっている。
問題点
学習データにはWikipediaなど何らかの知識を記述した文書群も含まれているため、物事についての解説などを求めると知っている内容に基づく回答を行うこともある。ただし、知識の体系的な処理よりも言語表現としての自然さを重視したモデルとなっているため、内容の正しさについては保証されない。
特に、誤った前提や存在しない物について質問すると「知らない」「存在しない」「前提が間違っている」などとは返答できず、文章としては一見もっともらしいが完全に出鱈目な内容を創作してしまうことがある。この現象は「ハルシネーション」(hallucination:幻覚)と呼ばれ、どのような機序で起きるのか、どうすれば防げるのか詳しいことは分かっていない。
悪意のある人物がデマや陰謀論、非道徳的な文章などを低コストで量産でき、社会の分断や憎悪を煽るような活動に悪用されかねないといった懸念や、学生や生徒が文章を記述する課題にChatGPTを用いても教師は確実に見破る方法がなく教育が機能不全に陥るといった指摘もある。
また、著作物の学習データへの利用についての法規制の議論が追いついておらず、著作者は許諾も見返りもないまま私企業の独占的なシステムに取り込まれてしまうことへ抗議する声もある。プロンプトによっては学習に用いたデータの一部がそのまま露見することもあり、意図せず情報漏洩が起きるリスクも指摘されている。これを理由に社内でのChatGPT利用を禁じている企業もある。