NIST 【National Institute of Standards and Technology】 米国立標準技術研究所
概要
NIST(National Institute of Standards and Technology)とは、アメリカ合衆国の連邦政府機関の一つで、科学技術に関連する標準についての研究などを行う機関。主に度量衡や計測・計量についての標準を管理したり、関連する科学研究や技術開発を推進している。1988年に前身のNBS(National Bureau of Standards:国立標準局)から改組された。商務省(US Department of Commerce)傘下で工業規格の国家標準を所管する政府機関であり、米軍など国防関連を除く連邦政府の調達に関する技術標準などを定めている。民間でも利用される国家標準の策定は、協定に基づき民間の非営利団体であるANSI(米国国家規格協会)に委託している。
IT分野の標準
NISTには情報技術を扱うITL(Information Technology Laboratory)という組織があり、セキュリティ(Security)、情報アクセス(Information Access)、数学と計算科学(Mathematics and Computational Science)、ソフトウェアテスト(Software Testing)、ネットワーキング研究(Networking Research)、統計工学(Statistical Engineering)の6分野を研究している。
情報技術に関する米連邦政府(米軍以外)の標準規格として「FIPS」(Federal Information Processing Standards)を公布しており、米国内外で広く参照されている。日本でも馴染み深い著名な規格としては、FIPS 46(DES:Data Encryption Standard)、FIPS 197(AES:Advanced Data Encryption)、FIPS 140(暗号モジュールのセキュリティ要件)などがある。
また、ITLの中でサイバーセキュリティを研究するCSD(Computer Security Division)はレポートやガイドラインなどを「SP」(Special Publications)として発行しており、SP800シリーズがセキュリティ関連のガイドラインとして参照される。近年では米連邦政府の調達先や委託先に求められるセキュリティ基準を示した「SP800-171」が国内企業にも注目されている。