パテントプール 【patent pool】
概要
パテントプール(patent pool)とは、特定の製品や技術に関連する特許を複数の企業などが持っている場合に、共同企業体(コンソーシアム)に持ち寄って一括して外部への利用許諾手続きや特許料の徴収、分配などを行う仕組み。関連する特許が複数の企業や大学、研究機関などにまたがって分散している場合、技術を利用したい外部の企業などはそれぞれの特許権者に個別に掛け合って利用許諾契約の締結やライセンス料の支払いなどを行わなければならない。
技術進歩の速い情報、電子、通信などの分野では、このような手間やコストが技術の普及速度を鈍らせたり、利用しやすいライバル技術に敗れる要因となり、結果的に特許権者の利益も損なうことがある。
これを緩和するために設立されるのがパテントプールと呼ばれるコンソーシアムで、各権利者は利用許諾や利益分配などの条件について交渉と合意を行い、特許の管理をコンソーシアムに委託する。コンソーシアムは参加企業相互の特許料支払いの調整や、外部企業に対する利用許諾と特許料の徴収、参加企業への収益の分配などを行う。
技術分野のパテントプールで有名な例としてはMPEG-2の関連特許を25社が持ち寄った MPEG LA (MPEG Licensing Association)やDVD関連特許の DVD6C Licensing Agency などがある。新たに企業体を設立する方式の他にも、知的財産権の管理業務を手掛ける企業にパテントプールの運営を委託する方式もあり、米ビアライセンシング(Via Licensing)社が伊シズベル(SISVEL)社などが受託先としてよく知られる。
(2021.12.14更新)