ガラパゴス化 【Galapagosization】 ガラパゴス現象 / Galapagos syndrome

概要

ガラパゴス化(Galapagosization)とは、製品やサービス、技術、およびその市場や産業などが日本国内だけで独自の変化を遂げ、国際的な標準や市場から孤立してしまう現象のこと。

南太平洋のガラパゴス諸島の動植物が、周囲から隔絶した環境で独自の進化、多様化を果たした姿になぞらえた表現で、もとは日本独自に進化した携帯電話端末を表現した用語(ガラパゴス携帯電話ガラケー)だったが、現在では主にIT関連産業を中心に他の製品や業界についても用いられ、日本以外の国で起きる似たような現象について用いられることもある。

ガラパゴス携帯電話

日本の携帯電話端末は大手通信事業者と大手電機メーカーが密接な協力関係のもと、世界的に見ても高い技術力で先端的な製品やサービスを実用化していったが、閉じた国内市場での調整や競争に注力するあまり、国際的な技術の標準化や市場の寡占化の動きから取り残された。

その結果、2000年代後半頃を境に米アップルApple)社の「iPhone」や、米グーグルGoogle)社を中心とする「Androidスマートフォンに市場を席巻され、電機大手の携帯電話事業は縮小や撤退、統合を余儀なくされた。残ったメーカーも自社設計を捨ててAndroid向け端末に転換することとなった。

他の市場の例

このような現象は古くはパソコン(NEC PC-9800シリーズとPC/AT互換機)、最近ではデジタルテレビ放送(ISDB-TとDVB/T、ATSC)、カーナビゲーションシステム(インダッシュ型とPND)、ゲームソフト(日本独特のジャンルが世界で売れない)などの市場で起こっているとされている。

IT関連業界以外でも、例えば日本の軽自動車やアメリカの大型ピックアップトラックを自動車産業におけるガラパゴスであると指摘する人もいる。これらはいずれも国際的な技術・仕様の標準化、市場の国際化、国際的な寡占化などが進みつつある産業・業界で見られる現象で、どの国も個別性が高い(ままの)業界では起こらない。

(2024.1.17更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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