全銀協手順 【全銀協標準通信プロトコル】
概要
全銀協手順(全銀協標準通信プロトコル)とは、全国銀行協会(全銀協)が1983年に制定した、金融機関のシステム間を広域通信網を通じて接続し、データ交換を行うための通信手順(プロトコル)。日本独自の規格で、国内の金融機関同士、および金融機関と顧客のシステム間を接続するのに用いられる。日本銀行と市中銀行などの民間金融機関、金融機関同士、金融機関と顧客企業などの間でオンラインデータ交換を行う通信仕様を定めている。一般の企業間のEDI(電子データ交換)システムでも利用されている。
全銀ベーシック手順 (Z手順)
1983年に最初に制定された規格は「ベーシック手順」と呼ばれ、専用端末と公衆交換電話網(電話回線)を利用する。アナログ電話回線ではモデムを通じて最高2400bpsで通信でき、ISDN回線を用いると64kbpsで通信できる。電話網のIP化に伴い2023年末でサポートが打ち切られる予定。
全銀TCP/IP手順 (拡張Z手順)
インターネットの普及に伴い1997年に「TCP/IP手順」が策定された。ベーシック手順では通信制御にBSC手順が用いられていたが、これをTCP/IPに置き換え、IP通信に対応した様々な機器やソフトウェアを利用できる。物理的な回線基盤としてはベーシック手順と同様に公衆交換電話網を前提としているため、2023年末で利用できなくなる。
これに代わって2017年に策定されたのが「TCP/IP手順・広域IP網」で、TCP/IP手順を電話回線ではなくインターネットやIP-VPNなど広域IP網を経由して利用できるようになった。金融サービスに求められる高いセキュリティ水準に配慮し、インターネットではなく通信事業者の閉域網を経由するVPNサービス等を利用することが推奨されている。
(2021.6.18更新)