DDR SDRAM 【Double Data Rate SDRAM】

概要

DDR SDRAM(Double Data Rate SDRAM)とは、コンピュータ主記憶装置(メインメモリ)に用いられるRAMの規格の一つで、SDRAMを改良してクロック同期信号の立ち上がり時と立ち下がり時の両方を利用して信号を伝送するDDR方式を採用したもの。他の条件が同じなら従来のSDRAMの2倍の転送速度で動作する。

一定周期のクロック信号同期して外部との入出力SDRAMSynchronous DRAMシンクロナスDRAM)を改良し、従来は信号の立ち上がり(低電圧から高電圧への切り替わり)時のみに信号を送出していたのを、立ち下がり時にも送出するようにした。

この制御方法を「DDR」(Double Data Rate:ダブルデータレート)と呼び、クロック信号1周期につき2回信号を送り出すことができる。DDR登場後、従来方式のSDRAMをこれと区別して「SDR SDRAM」(Single Data Rate SDRAM)と呼ぶことがある。

最初のDDR SDRAM規格は業界団体JEDECにより2000年に策定され、対応製品は2001年後半に登場した。従来のSDRAMの後継候補として他に「RDRAM」(Direct RDRAM)もあったが、DDR SDRAMがシェア争いに勝利し、パソコン向けメモリの業界標準として広く普及した。

動作周波数の違いによりいくつかの仕様があり、メモリチップは「DDRxxx」という形式で対応周波数を、メモリモジュールは「PCyyy」の形式でデータ転送速度を表す。例えば、「DDR200」チップ100MHzバスクロック(DDRにより200MHz駆動)で動作することを表し、「PC1600」は転送速度1.6GB/sギガバイト毎秒1600MB/s)で動作することを表す。

メモリチップ メモリモジュール メモリクロック バスクロック 転送速度

DDR200

PC1600

100MHz100MHz (DDR:200MHz)1.6GB/s

DDR266

PC2100

133MHz133MHz (DDR:267MHz)2.1GB/s

DDR333

PC2700

167MHz167MHz (DDR:333MHz)2.7GB/s

DDR400

PC3200

200MHz200MHz (DDR:400MHz)3.2GB/s

DDR466

PC3700

233MHz233MHz (DDR:466MHz)3.7GB/s

DDR500

PC4000

250MHz250MHz (DDR:500MHz)4.0GB/s

DDR533

PC4200

267MHz267MHz (DDR:533MHz)4.2GB/s

DDR550

PC4400

275MHz275MHz (DDR:550MHz)4.4GB/s
▲ DDR SDRAMメモリ仕様一覧

DDR2/DDR3/DDR4/DDR5

DDR SDRAMのイメージ画像

2003年には後継のDDR2 SDRAM規格が策定され、当初のDDR SDRAMはこれと区別するために「DDR1 SDRAM」とも呼ばれるようになった。以降、DDR SDRAMという語は初代のDDR1方式を指す場合と、後継規格すべてを含む総称として用いる場合がある。

DDR2 SDRAM」は他の条件が同じならDDR1の2倍の転送レートで動作し、2004年頃からDDR1を置き換えて普及していった。2005年にはDDR2をさらに2倍に高速化した第3世代の「DDR3 SDRAM」規格が策定され、2009年頃からDDR2に代わって普及した。

2012年にはさらに2倍に高速化した第4世代の「DDR4 SDRAM」規格が策定され、2015年頃から普及が始まった。2020年にはさらに2倍に高速化した第5世代の「DDR5 SDRAM」規格が策定され、2021年頃から普及が始まっている。DDR4以降は前の世代の製品の置き換えが緩やかであり、同時に異なる世代のメモリ製品が流通することが増えている。

GDDR (Graphic DDR)

DDR SDRAMの派生規格で、ビデオカードグラフィックカード)の内蔵メモリVRAM)として利用することに特化した規格を「GDDR」という。メインメモリ用に比べ動作周波数が高く、バス幅も広く、消費電力や発熱量は低く抑えるよう設計されている。カード内でGPUのすぐ側に直に実装して短い配線で繋ぐ必要があり、パソコンのようにメインメモリモジュール化されている形態では利用できない。

(2022.5.24更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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