エコシステム 【ecosystem】
概要
エコシステム(ecosystem)とは、「生態系」という意味の英単語。ビジネス分野では、互いに独立した企業や事業、製品、サービスなどが相互に依存しあって一つのビジネス環境を構成する様子を生物の生態系になぞらえてこのように呼ぶことがある。ビジネス上の繋がりとしては受注-発注、販売-購入といった直接的な取引関係が一般によく知られるが、エコシステムという場合は、このような直接的な商取引関係が無いにも関わらず、複数の事業者や製品などが互いに関連・依存し合い、総体としてある種の経済圏を形成する様子を表している。
IT分野では間接的な繋がりを介したビジネス環境が現れやすい。例えば、あるメーカーのスマートフォン製品向けに、そのメーカーとは別の企業がアプリケーションソフトを発売し、これが人気を博すと、そのアプリ目当てにその機種を求める消費者が増える。
これを見た他のソフトウェア企業も人気機種の利用者を目当てにアプリを提供するようになり、豊富な対応アプリを見てますます消費者が集まり…という循環的なプロセスが発生し、スマートフォンとアプリが互いに相手の普及を促進し合う関係となる。
この環境の中核にあるのはスマートフォンだが、人気のきっかけは他社の対応ソフトであり、それは必ずしも直接的な取引関係によって生み出されるとは限らない。このような、形式的には互いに独立している事業者や製品同士が組み合わされることで循環的に経済が駆動する様子を、食物連鎖などを通じて相互に結びついて繁栄する生物群になぞらえてエコシステムと呼ぶようになった。
IT分野でエコシステムを形成する中核となる製品やサービスの例として、パソコン、家庭用ゲーム機、オペレーティングシステム(OS)、スマートフォン、Webブラウザ、SNS、ECサイト、クラウドサービスなどが挙げられる。
インターネットやデジタル経済におけるエコシステムの基盤(プラットフォーム)を握る事業者は絶大な影響力を持ち、「プラットフォーマー」(和製英語)と呼称される。米グーグル(Google)社、米アップル(Apple)社、米フェイスブック(Facebook)社、米アマゾンドットコム(Amazon.com)社が特に有力とされ、4社の頭文字を繋げて「GAFA」(ガーファ)と呼ばれる。