読み方 : クリプトレック
CRYPTREC【Cryptography Research and Evaluation Committees】
概要
CRYPTRECとは、政府機関が利用すべき暗号技術を評価・選定し、推奨リストを策定・公表する日本政府のプロジェクト。総務省、経済産業省、情報通信研究機構(NICT)、情報処理推進機構(IPA)が共同で運営している。

共通鍵暗号(秘密鍵暗号)や公開鍵暗号、ハッシュ関数、暗号利用モード、メッセージ認証コードなど様々な暗号関連技術について、専門家が安全性や利用実績、調達の容易さなどを多角的に評価・検討する。その結果は「電子政府推奨暗号リスト」として公表され、政府機関が情報システムで暗号技術を選定する際には、可能な限りこのリストから選択することが求められる。
リストにはいくつかの区分があり、安全性・実績ともに十分と認められた技術が「推奨候補暗号リスト」を経て「電子政府推奨暗号リスト」に掲載される。かつて掲載されていたものの、年月を経て十分な安全性の確保が困難になり、現在は利用を推奨しない技術は「運用監視暗号リスト」に移行する。
掲載技術には、共通鍵暗号の「AES」、公開鍵暗号の「RSA」や「ECDSA」、ハッシュ関数の「SHA-2」(SHA-256/SHA-384/SHA-512)など、米国政府標準(FIPS)として国際的に普及している技術が多く含まれる。一方で、日本で開発されたブロック暗号の「Camellia」やストリーム暗号の「KCipher-2」も採用されており、国産技術の評価結果も反映されている。地方公共団体や民間企業においても、安全な暗号技術を選ぶ際の参考資料として広く活用されている。
2000年度に活動を開始し、2003年に初版リストを公表した。暗号技術の安全性はコンピュータの処理能力の向上や解読手法の進歩によって変化するため、定期的な見直しが行われており、2013年には大幅な改訂が実施された。近年では、量子コンピュータの実用化によって従来の公開鍵暗号が解読されるリスクに備え、耐量子計算機暗号(PQC)に関する調査や移行に向けた検証にも取り組んでいる。
(2026.6.14更新)