LINPACK
概要
LINPACKとは、コンピュータの総合的な性能を計測・評価するベンチマークテストおよび指標の一つ。世界のスーパーコンピュータの性能を比較してランキング形式で発表している「TOP500 Supercomputer Sites」の標準ベンチマークとして有名。正確にはLINPACK自体は数値計算ライブラリの名称で、これを用いて作成された「LINPACK benchmarks」と、その後継として開発されたベンチマークプログラムやスコアのことを略してLINPACKと呼ぶことが多い。
オリジナルのLINPACKは、1970年代にアメリカのコンピュータ科学者ジャック・ドンガラ(Jack J. Dongarra)氏らがFortran言語向けに開発した線形代数の数値計算を行うためのライブラリ(ソフトウェア部品)である。同氏らはこれを用いてコンピュータの数値計算性能を計測する標準的な手法を提唱した。
1980年代には処理の並列化に対応し、これを元にスーパーコンピュータ向けにC言語で開発されたHPL(High Performance Linpack)が1991年にTOP500プロジェクトの標準ベンチマークプログラムとして採用された。
LINPACKは1970~80年代の科学技術計算向けコンピュータの性能の計測や比較のために開発されたため、マイクロプロセッサの数値演算性能の比重が高く、スーパーコンピュータが並列分散型に進化した現代から見ると、計算ノード間の通信(インターコネクト)性能が軽視されすぎているという批判がある。
すなわち、低速なネットワークで安価なノードを結合したクラスタ型のシステムでも、ノード数さえ増やせばLINPACKのスコアを高めることができるが、そのような構成はスーパーコンピュータが対象とする、ノード間で頻繁に大量のデータをやり取りながら解く複雑な問題には適していないとされる。
(2018.11.27更新)