ODF 【OpenDocument Format】 オープンドキュメントフォーマット
概要
ODF(OpenDocument Format)とは、ワープロ文書や表計算ソフトのワークシートなど、オフィスソフトの扱うデータファイルを保存するためのXMLベースのファイル形式。オープンソースのオフィスソフトOpenOffice.org(現Apache OpenOffice)の標準ファイル形式を拡張し、標準化団体のOASISが規格化したもの。文書内の文字情報や構造、レイアウトなどはマークアップ言語の一つであるXMLを用いてテキスト形式で記述し、画像など文字で表現できないバイナリデータはそれぞれ個別のファイルとして添付する。ファイル本体はZip形式の圧縮ファイルで、内部では複数のファイルが所定のファイル名やディレクトリ構造に従って格納されている。
テキスト表現可能な文書の実体は「content.xml」というファイルに収められ、その中に埋め込まれた画像などは「Pictures」というディレクトリに格納される。他に、文書の著者や作成日などその文書についての情報(メタデータ)を記述した「meta.xml」、設定情報を記述した「settings.xml」、格納されているファイルの一覧が記述された「manifest.xml」、書式やスタイルを規定した「styles.xml」などのファイルで構成される。それぞれのファイルや構成要素の書式なども規定されている。
ファイルの種類ごとに形式が定められており、標準のファイル拡張子もそれぞれ異なる。ワープロソフトなどの文書ファイル向けの「.odt」(OpenDocument Text)、表計算ソフトのワークシート向けの「.ods」(OpenDocument Spreadsheet)、プレゼンテーションソフトのスライドファイル向けの「.odp」(OpenDocument Presentation)の3つがよく用いられるが、規格上は図形やグラフ、数式、画像、データベースを保存する形式も規定されている。
オフィスソフトなどの文書ファイル形式は従来、ソフトウェアメーカーが独自に策定し仕様を非公開とすることが多く、ソフトウェア間の互換性が乏しく他のシステムでの再利用や自動処理も難しい場合が多かった。ODFは標準規格として仕様が公開され、誰でも自由に対応ソフトウェアを開発できるため、システムをまたいでデータを交換するのが容易となる。
2005年に最初の規格が国際的な標準化団体のOASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)によって標準化された。翌年にはISO/IEC 26300として国際標準となり、日本では2010年にJIS X 4401として国内標準となっている。
Apache OpenOfficeやLibreOffice、Google Workspaceなどのソフトウェアやサービスが標準のファイル形式として対応しているほか、近年ではMicrosoft OfficeもODF形式(の仕様の範囲内)でのファイルの読み込みや書き出しに対応している。