読み方 : ピーシーアイエクスプレス

PCI Express【PCIe】3GIO

PCI Expressとは?

コンピュータの拡張バスおよび拡張スロットの標準仕様の一つで、PCIPeripheral Component Interconnectバス・スロットの後継となるシリアル伝送インターフェース

パソコンなどに拡張カードを装着し、CPUメモリRAM)など他の装置と通信するための接続規格で、ビデオカードなどの接続方式として広く普及しているほか、SSDなど高速なストレージ向け(NVMeなど)やノートパソコン向け(ExpressCard)の派生規格もある。

一対の伝送路を互いに反対方向の通信に用い、全二重通信が可能となっている。2002年発表のPCI Express 1.1では伝送路(レーン)一本あたり片方向2.5Gbpsギガビット毎秒)、双方向で5Gbpsで通信できる。実際のデータ伝送ではデータ8ビットごとに2ビットの誤り訂正符号などを追加する8B/10Bエンコーディングが行われ、実効データ伝送速度はそれぞれ250MB/sメガバイト毎秒)、500MB/sとなる。

リビジョンと世代

PCI Expressでは規格の改訂をリビジョンrevision)と呼んでおり、ソフトウェアのバージョン番号のように時系列に増える実数で表す。伝送規格が刷新されると整数部の値が増え、2.0を「Gen2」(PCI Express 2.0:第2世代)、3.0を「Gen3」(PCI Express 3.0:第3世代)のように呼んで区別する。2007年のGen2では伝送路あたりの速度が片方向5Gbps、双方向10Gbpsに引き上げられ、それぞれ実効速度500MB/s・1GB/sギガバイト毎秒)で通信できる。

2010年のGen3では伝送路あたりの速度が片方向8Gbps、双方向16Gbpsに引き上げられたが、エンコーディング方式が高効率な64B/66Bに変更となり、実効速度は約1GB/s・約2GB/sとなっている。2017年のGen4(PCI Express 4.0)ではそれぞれ倍の16Gbps(約2GB/s)・32Gbps(約4GB/s)に、2019年のGen5(PCI Express 6.0)では32Gbps(約4GB/s)・64Gbps(約8GB/s)に、2022年のGen6(PCI Express 6.0)では60.5Gbps(約7.5GB/s)・121Gbps(約15GB/s)に、2025年のGen7(PCI Express 7.0)では121Gbps(約15GB/s)・242Gbps(約30GB/s)に向上している。

レーン

PCI Expressでは一対の接続端子による基本的な伝送路の構成をレーン(lane)と呼び、複数のレーンを束ねて一体的に運用することで速度を向上させることができる。拡張カードは接続に必要なレーン数が決まっており「PCI Express x8」(8レーン)のように表記する。拡張スロット側も接続可能な最大レーン数が決まっており、これを超えるカードは(物理的に)差し込めない。

レーン数はGen3までは x1、x2、x4、x8、x12、x16、x32 の7種類から選択できたが、Gen4でx64が追加された。実際の製品では最大x16までとなっていることが多く、x32以上の対応製品は少ない。レーンの数だけ整数倍に伝送速度が向上するため、例えばPCI Express 2.0のx16ならば片方向8GB/s(500MB/s×16)、双方向16GB/s(1GB/s×16)で通信することができる。

スロット形状

PCI Expressスロットはレーン数に応じて長さが異なり、レーン数の多いスロットにはそれより少ないレーン数の拡張カードを差し込んで使用できる。すなわち、x16スロットにx1カードを接続して通信することはできるが、その逆はできない(スロットの物理的な長さが足りない)。

注意点として、CPUやチップセットに内蔵されたPCI Expressコントローラが対応できるレーン数の合計には上限があり、これがマザーボードに設けられたスロットの単純な最大レーン数より少ない場合がある。x16スロットが2基設置されていても、コントローラが最高24レーンまでなら、x8カード+x16カードの構成が上限で、x16カード2枚を挿すことはできない。

歴史

2000年代前半にパソコン向けの3Dグラフィックスアクラレータなどが必要とするデータ伝送速度が大幅に向上し、それまでの「PCI」(Peripheral Component Interconnect)や「AGP」(Accelerated Graphics Port)では帯域が逼迫するようになった。米インテル(Intel)社は「3GIO」(3rd Generation I/O)のコードネームで新たなシリアル接続インターフェースを開発していたが、業界団体PCI-SIG(PCI Special Interest Group)がこれを「PCI Express」の名称で標準化した。同時期にPCIを高速化したPCI-X規格も存在したため当初は名称が似ていて混同されやすかったが、程なくしてWORDへの置き換えが進んだ。

🔰よくある質問

  • PCI Expressとは何ですか?
    コンピュータマザーボードと各種拡張カードを接続するための高速インターフェース規格です。ビデオカードSSDネットワークカードなどの接続に広く使われており、現在のPCにおける標準的な拡張スロット規格として普及しています。
  • 「x1」「x4」「x16」という表記は何を意味しますか?
    データ転送に使うレーン(通信経路)の数を表しています。x1は1レーン、x4は4レーン、x16は16レーンを意味し、レーン数が多いほど同時に転送できるデータ量が増えます。ビデオカードには帯域幅が広いx16スロットが使われることが一般的です。
  • PCIe 4.0PCIe 5.0は何が違いますか?
    世代(バージョン)を表しており、世代が上がるごとに1レーンあたりの転送速度がおよそ2倍になります。同じx4接続NVMe SSDでも、PCIe 4.0PCIe 5.0では最大2倍の速度差があります。ただし、マザーボードとデバイスの両方が同世代に対応している必要があります。
  • 古い世代のカードを新しいスロットに挿しても使えますか?
    はい、基本的に使えます。PCI Expressは世代間の後方互換性が保たれており、PCIe 3.0のカードをPCIe 5.0のスロットに挿入しても動作します。その場合は古い世代の速度での動作となりますが、機能自体は損なわれません。
  • スロットの物理的なサイズが違うカードを挿せますか?
    小さいカードを大きいスロットに挿すことは基本的に可能です。例えば、x1カードをx16スロットに挿すことはでき、x1モードで動作します。逆の場合はサイズ・形状の関係でほぼ不可能です。スロットの端が開放された形状(オープンエンド)であれば挿入できる場合もありますが、稀です。

他の辞典等による「PCI Express」の解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。