RS-232C 【Recommended Standard 232 version C】 EIA-232-D / EIA/TIA-232
概要
RS-232C(Recommended Standard 232 version C)とは、電子機器間でシリアル通信を行うための接続規格の一つ。コンピュータのシリアルポートと周辺機器を接続する仕様として、かつては広く普及していた。15mまでの距離を最高115.2kbpsの速度で接続することができる。コネクタ形状はD-Sub 9ピンとD-Sub 25ピンの2種類がよく用いられる。コンピュータと周辺機器の接続にはストレートケーブルを、コンピュータ同士の接続には内部の配線の一部が交差しているクロスケーブル(リバースケーブル)を用いる。
1980~90年代にパソコンに標準搭載されており、モデムやプリンタ、マウスとの接続などによく使われた。クロスケーブルでコンピュータ同士を繋いで相対でデータを送受信する用途にも用いられた。現在ではUSBなどにその座を譲り、一般的なパソコン製品からは廃止されている。
制御回路が比較的単純で、長距離を安定的に伝送できることから、現在でも産業機械や測定機器などの制御用といった通信の高速性が重視されない用途では現役で利用されている。伝送速度などを向上させた後継規格の「RS-422」(EIA-422)や「RS-485」(EIA-485)などもよく用いられる。
ルータやネットワークスイッチなどのネットワーク機器をコンピュータに繋いで管理を行う「コンソールポート」も元はRS-232C仕様で、機器側がD-Sub 9ピン、コンピュータ側がRJ45(Ethernetコネクタ)となっている特殊なLANケーブル(コンソールケーブル)が用いられることがある。
歴史
1960年に当時のCCITT(現在のITU-T)が、通信システムにおけるモデムなどのDCE(回線終端装置)とコンピュータなどのDTE(データ終端装置)の間の通信仕様としてV.24勧告およびV.28勧告を発行した。これを1968年に当時のEIA(米電子工業会)が「RS-232C」の名称で汎用の通信仕様として採用し、1991年にANSI(米国国家規格協会)によって標準化された。
「RS-232C」は初期版の名称で、改訂版は「EIA-232-D」および「EIA-232-E」、最終版は「ANSI/TIA/EIA-232-F-1997」の規格名で知られる。RS-232C対応をうたう製品には、実際に初期のRS-232C仕様のみに対応しているものと、これらの新版に対応済みのものがある。EIAは2011年に解散しており、その後はTIA(米電気通信工業会)が規格を引き継いでいる。