フォーラム標準 【forum standard】
概要
フォーラム標準(forum standard)とは、特定の技術や製品分野などに関係する企業や専門家などが集まって業界団体(フォーラム)を組織し、その技術についての標準仕様を策定・提唱したもの。電気・電子分野におけるIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)規格、インターネット技術におけるIETF(Internet Engineering Task Force)やW3C(World Wide Web Consortium)の規格などが該当し、IT分野では個別技術ごとに結成された企業連合による標準化活動も活発に行われている。
一方、日本のJIS規格や国際的なISO(国際標準化機構)規格など、公的機関や標準化機関が策定した制度上の標準規格を「デジュールスタンダード」(de jure standard/デジュリスタンダードとも)、特定の製品などが普及した結果、その仕様が事実上の標準として広まったものを「デファクトスタンダード」(de facto standard)という。
デファクトスタンダードは一社が単独で策定して使い始めた仕様がそのまま広まる場合もあるが、フォーラム標準は複数の企業や団体、当該分野に強い影響力を有する専門家などが集まり、標準化団体の内部での討議を経て仕様を発行する。
フォーラム標準の有名な例として、光学ディスクの「DVD」(DVDフォーラム)やメモリーカードの「SDメモリーカード」(SDアソシエーション)、多言語の文字コード規格である「Unicode」(Unicodeコンソーシアム)などが挙げられる。Unicodeとほぼ同様の仕様がISO/IEC 10646として正式に標準化されたように、IT業界ではフォーラム標準がデファクトスタンダード化した後に公的な標準化機関によってデジュールスタンダード化する事例が多く見られる。
一方、フォーラム標準がデファクトスタンダードを獲得できなかった例としてDVDの次世代規格がある。それぞれ別の団体が推進する「Blu-ray Disc」と「HD DVD」という二つのフォーラム標準が競合したが、Blu-ray Discがデファクトの地位を獲得し、敗れたHD DVDは普及することなく消滅した。
MPEGやJPEGのように、ISOやIEC、ITUなどの標準化機関が専門家を招いて設置した作業部会が策定した規格もフォーラム標準に分類されることが多いが、JPEGのISO/IEC 10918規格のように、最終的に標準化機関が発行した規格はデジュールスタンダードである。