SPEC 【Standard Performance Evaluation Corporation】
概要
SPEC(Standard Performance Evaluation Corporation)とは、コンピュータシステムを実際の使用環境に近い状態で性能測定する標準的な手法を策定し、測定結果を登録・公表する国際的な非営利団体。1988年に大手コンピュータメーカーなどを中心に設立された。本部はアメリカ・バージニア州ゲインズビル。コンピュータシステムの性能を計測するベンチマークプログラムの開発・提供や測定結果の公開を行なっている。ベンチマークは対象となる機器やソフトウェア、システムの種類ごとに開発されている。
また、性能を計測したい処理内容(整数演算と浮動小数点演算など)ごとに分かれている場合もある。プログラムは機種に依存しないプログラミング言語や開発環境で作成され、実際の使用状況を模した処理を行なって実行時間を計測する。
分科会
いくつかの分科会が設置されており、CPUや汎用のコンピュータシステムを対象とする「OSG」(Open Systems Group)、大規模システムやスーパーコンピュータなどを扱う「HPG」(High-Performance Group)、グラフィックス処理システムを対象とする「GWPG」(Graphics and Workstation Performance Group)、組み込みシステムを対象とする「EG」(Embedded Group)などがある。
個別のベンチマークを検討・開発するグループ以外にも、ベンチマークや計測手法の研究開発を担う「RG」(Research Group)、ベンチマーク手法の国際標準化を推進する「ISG」(International Standards Group)などの分科会が設置されている。
主なベンチマーク
SPECのベンチマークおよび測定値は、「SPECint2006」のように「SPEC」に続けてベンチマーク名、発表年を記載し区別する。同じベンチマークでも年を経て改訂されることがあり、年号が異なるベンチマークの結果は直接比較することができない。
著名なベンチマークには、CPU(マイクロプロセッサ)の整数演算性能を計測する「SPECint」シリーズや、浮動小数点演算性能を計測する「SPECfp」シリーズなどがある。現在ではこれらを合わせて「SPEC CPU」シリーズとなっている。近年ではクラウドサービスの性能を示す「SPEC Cloud IaaS」、仮想化環境の性能を示す「SPECvirt Datacenter」なども追加されている。