マルチクラウド 【multicloud】

概要

マルチクラウド(multicloud)とは、企業の情報システムなどで、複数の異なる事業者のクラウドサービスを併用すること。用途やシステムごとに使い分けたり、連携させて一体的に運用したりする。

例えば、Amazon Web ServicesMicrosoft Azureを組み合わせて運用することなどをこのように呼ぶ。各社の提供しているクラウドサービスは品目や機能、料金体系、運用体制などに違いがあるため、マルチクラウド体制ならばシステムの特徴に応じて適したサービスを利用することができる。

また、一社のインフラに依存しきってしまうと他社製品・サービスの利用や他社環境への移転が困難になったり(ベンダーロックイン)、トラブルの発生時にシステムが全面的に停止してしまう危険があるが、複数のクラウドサービスに分散してシステムを配置することで依存性やリスクの軽減・分散を図ることができる。

ただし、サービスごとに異なる管理方式や管理ツールなどを使い分けねばならず運用が煩雑になり、契約が重複することも合わせて高コストになりがちである。また、サービスをまたがる機能の連携やデータの移動は利用者側に高度な知見や技術が求められ、サービス側のサポートは得られにくい。

一方、自社施設内に構築したプライベートクラウドと、専門の事業者が運営するクラウドサービスパブリッククラウド)を併用する方式のことは「ハイブリッドクラウド」(hybrid cloud)という。

(2020.5.14更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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