ナンバーポータビリティ 【number portability】 番号ポータビリティ / 番ポ / 番号持ち運び制度

概要

ナンバーポータビリティ(number portability)とは、電話サービスにおいて契約先の通信事業者を切り替えても同じ電話番号を引き続き使えるようにする制度。特に、携帯電話におけるそのような制度(MNP:Mobile Number Portability)。

従来は、ある通信事業者の電話サービスに加入する契約者が別の事業者の同様のサービスに乗り換えた場合、元の電話番号は事業者に返却され、乗り換え先の事業者から新しい番号が割り当てられていた。

これを、同じ電話番号を維持したまま別の事業者に切り替えることができるようにする制度およびシステムがナンバーポータビリティで、世界的に通信事業の民営化や市場開放の進んだ1990年代から2000年代前半にかけて各国で導入が相次いだ。日本では固定電話で2001年に、携帯電話が2006年にそれぞれナンバーポータビリティ制度がスタートした。

厳密には、電話会社間で番号を持ち運ぶ「事業者間ポータビリティ」のほかに、加入者が移転しても引越し先で同じ番号を使い続けられる「ロケーションポータビリティ」、アナログ電話とISDNなどサービス種別を切り替えても同じ番号を維持する「サービスポータビリティ」があるが、単にナンバーポータビリティと言った場合は事業者間ポータビリティのこと指すのが一般的である。

携帯電話番号ポータビリティ (MNP:Mobile Number Portability/モバイルナンバーポータビリティ)

携帯電話サービスにおける通信事業者キャリア)間の同番移行を携帯電話番号ポータビリティ(モバイルナンバーポータビリティ)と呼び、単にナンバーポータビリティといえば通常はこれを指す。

携帯電話市場は固定電話とは異なり、1990年代末の本格的な普及の初期から複数のキャリア間で激しい競争がわれてきたが、電話番号がキャリアに紐付いていることにより、既存の加入者がより有利な契約を求めて他社に乗り換えるのを阻害する状況が生じていた。

携帯電話の普及率が急上昇し新規加入者が減っていく中、より公正な競争環境を実現するため2006年10月にMNP制度が開始され、同じ電話番号を維持したまま他のキャリアの契約に切り替えることができるようになった。

ただし、日本では携帯電話端末をキャリアに紐付ける「SIMロック」がわれていたため端末は買い直さねばならず、また、日本独自に広まった携帯電話端末によるインターネット電子メール送受信サービス(他国では電話番号を用いたSMSが一般的だった)も、キャリアが加入者に割り当てる電子メールアドレスキャリアメール)のドメイン名部分がキャリア所有のものであるため、乗り換えると取り直しとなった。

このような日本固有の事情もあり、当初は同時期にMNPを開始した各国のようには事業者間の移動は進まなかった。しかし、2010年代に入るとSIMロックの解除やSIMロックフリー端末の普及やMVNO仮想移動体通信事業者)の新規参入が進み、また、旧来の端末ガラパゴス携帯電話)からスマートフォンへの切り替えによりキャリアメール以外の通信・連絡手段が広まったことなどから、以前よりは気軽に乗り換えがわれる状況になりつつある。

(2018.11.8更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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