加入電話 【subscriber telephone】

概要

加入電話(subscriber telephone)とは、電話会社と利用契約を結んで回線を引き込むことにより、他の利用者や公衆電話、携帯電話、海外などとの通話が可能になる電話サービス。古くからある、いわゆるアナログ固定電話サービスのこと。

1890(明治23)年に東京~横浜間で約200人の加入者により始まったもので、100年以上に渡り続いている。この間、運営主体は逓信省、電気通信省(1949年~)、電信電話公社(電電公社)(1952年~)、日本電信電話(NTT)(1985年~)、NTT東日本・NTT西日本(1999年~)と変遷している。加入者数は1996年末の約6150万回線をピークに減少し、デジタル固定電話・通信サービスのISDNや、光ファイバーによるIP電話サービス、携帯電話などに加入者を奪われつづけている。

加入電話は電話局から より対線(メタルケーブル)を加入者宅に引き込み、電話機を接続して利用する。回線には10桁の電話番号が割り当てられ、他の加入者や公衆電話、携帯電話、国際電話を通じて海外などと音声通話ができる。

警察(110番)、消防(119番)への緊急通報や、時報(117番)、天気予報(177番)などの情報サービスも利用できる。モデムを接続することによりデータ通信に利用することもできる。電話回線には電話機で通話が可能になる程度の微弱な電力が供給されているため、災害などで停電しても電話回線が通じていれば通話ができる。

電話加入権

加入電話に加入するには、加入者にインフラ建設費などの一部の負担を求める「施設設置負担金」を支払う必要があり、これを支払うといわゆる「電話加入権」が取得できる。加入権は譲渡が可能であり、財産と同様の扱いであったが、歴史的役割を終えたとの議論を受けて2005年に従来の半額に値下げされ、将来は廃止されることが決まっている。

NTT地域会社は基本料金が高い代わりに加入権がなくても加入できる「加入電話ライト」などを提供している。かつては加入権とは別に「電信電話公債」(電話債券)の購入が必要だったが、この制度は1983年に廃止され、全額償還されている。

近年では通信の自由化が進み、NTT地域会社以外の電話会社も加入電話と同じように直接加入して通話サービスを受けられるようになった。こうしたサービスは「直収電話」などと呼ばれ、NTT地域会社のサービスを「一般加入電話」などと呼んで区別する場合もある。

(2023.2.8更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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