DMCA 【Digital Millennium Copyright Act】 デジタルミレニアム著作権法

概要

DMCA(Digital Millennium Copyright Act)とは、主にデジタル化された著作物の流通を想定し、これに対応するための規定を追加したアメリカ合衆国の著作権法。独立した新法ではなく、著作権法を改正する法律である。

1996年12月に成立したWIPO(世界知的所有権機関)の著作権条約および実演・レコード条約にアメリカ国内法を適合させるための法律である。連邦著作権法を改正する形で、1998年10月に成立し、2000年10月に施行された。

追加された重要な規定として、デジタル情報の複製を防止・制御する技術的保護手段(DRM等)を回避するソフトウェアなどの開発・頒布を禁じたことと、インターネット上での著作権侵害事案についてインターネットサービスプロバイダISP)など発信者と受信者の中間にある事業者の責任や手続きを明確化したことの二点が挙げられる。

DRM解除の禁止

DVD電子書籍暗号化デジタル放送のスクランブル化など、正規の利用者や利用手段でしかコンテンツに触れられないよう技術的に複製や再生を制限する技術が普及したが、これを回避するソフトウェアなどが公開され、海賊版が流通することが問題となっていた。

DMCAでは著作権保護技術を回避したり無力化することの禁止、および、そのような手段の公表を禁じる規定が追加された。似た規定は日本でも1999年の著作権法および不正競争防止法の改正で導入されている。

プロバイダ等の責任の明確化

Webサイトなどで情報を発信する場合、発信者はプロバイダISP)やホスティング事業者などのWebサーバを借りてコンテンツを公開することが多く、また、閲覧者は検索エンジンなどで検索して当該コンテンツを発見することが多い。

従来の著作権では発信者が著作権侵害をった(疑いがある)場合に、これらの中間的な事業者の取るべき対応や責任について明確な規定がなかったため、DMCAでは新たに手続きが追加された。日本でもいわゆるプロバイダ責任法プロバイダ責任制限法)に似た規定が定められている。

著作権侵害の申立人(通常は著作権者)が法定の様式に則り発信者の侵害行為を事業者に通知(notice)した場合、速やかにこれを削除・非公開とする措置(take down)を取れば、事業者は当該事案について免責される。この手続きは「ノーティス・アンド・テイクダウン」(notice and take down)あるいは「DMCAテイクダウン」と通称される。

一方、著作権侵害の通告を受け情報を削除したことを発信者に通知し、発信者から反論の通知があった場合にこれを申立人に取り次げば、当該情報を削除した措置に関して(著作権侵害が成立しなかった場合に発信者の被った損害等について)免責される。

発信者が反対通知をわない場合は当該情報は削除されたままとなり、反対通知をった場合は2週間以内に申立人が発信者に著作権侵害の訴訟を提起しなければ情報は復活する。申立人が裁判を起こした場合は判決や和解条件に従って復活させる否かが判断される。

テイクダウン手続きの乱用・虚偽通報

DMCAによる情報の削除手続きは一定の様式に記入して事業者に通知するだけで成立するため、個人や企業がWeb上に掲載された自らの悪評や都合の悪い情報を削除するため乱用する事例が問題となっている。

これらの事例では、都合の悪い情報Googleの検索結果やTwitterの発言などから削除するため、引用として適法であると思われる程度の著作物利用について著作権侵害を申し立てページ全体を削除させたり、悪質な場合はまったくの虚偽の削除申請をったりする。

(2018.3.2更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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