パブリシティ権 【right of publicity】
概要
パブリシティ権(right of publicity)とは、著名人の氏名や肖像から生じる経済的な価値を第三者に勝手に使われない権利。日本の法体系では名文の規定はないが、判例によって一定の法的な保護が与えられている。有名人の名前や肖像(写真や明白に本人と分かるイラストなど)は人を惹き付ける力があり、広告や商品の外観などに使用したりメディアに露出することで経済的な価値を生み出すことができる。その利益を本人が独占し、他者に勝手に使わせない権利をパブリシティ権という。
肖像に関しては「肖像権」という概念もあり、こちらは本人の意に反して肖像を勝手に使われない人格権としての側面が重視される。すなわち、経済的な利益を得る目的でなくても、肖像を勝手に使うことで名誉やプライバシーが害されれば肖像権の侵害であると解される。
パブリシティ権について明文の法律を設けている国(米国のいくつかの州法など)もあるが、日本のように判例の積み重ねで一定の権利を確立している国もある。保護の対象は氏名(本名)と肖像だけでなく、芸名やペンネームなどで活動している場合はこれも含まれる。明確に争点となった裁判例はないが、声やサインも含まれるとする見解もある。
(2024.5.18更新)