ビジネスモデル特許 【business method patent】
概要
ビジネスモデル特許(business method patent)とは、ビジネスの仕組みを特許化したもの。事業として何を行い、どこで収益を上げるのかという「儲けを生み出す具体的な仕組み」自体を内容とする特許。英語では “business method patent” (ビジネスメソッドパテント)と呼ぶが、日本に最初に紹介されたときに「ビジネスモデル特許」という用語が使われたことから、現在でもこの言い方が定着している。
従来、事業の方法自体は特許にならないと言われていたが、アメリカで起きた「ハブ&スポーク特許事件」を契機に、1990年代末から続々と申請されるようになった。ハブ&スポーク特許は、米シグネチャーフィナンシャルグループ(Signature Financial Group)社が取得した特許で、複数の投資信託を一括管理するための仕組みである。
同業のステートストリートバンク(State Street Bank and Trust)社が特許無効を訴える裁判を起こしたが、米国連邦控訴裁判所は1998年7月に特許を有効とする判決を下した。ビジネス手法であっても、発明が有用(useful)で、具体的(concrete)で、有形(tangible)の結果を生みだすならば、特許として認められるという判断を示したのである。
この事件をきっかけにビジネスモデル特許は注目を集めるようになり、ちょうど2000年前後のインターネットを用いた新ビジネスのブーム(ドットコムバブル)と重なったこともあり、コンピュータやインターネットに関連する手法を用いた新ビジネスの特許が大量に出願されるようになった。
この時期に成立したインターネット関連のビジネスモデル特許として、プライスラインドットコム(Priceline.com)社の「逆オークション」特許や、米オープンマーケット(OpenMarket)社の「ショッピングカート」特許、米アマゾンドットコム(Amazon.com)社の「1-Click」特許、ダブルクリック(DoubleClick/当時)社の「DART」特許などが有名である。
日本でもインターネット関連を中心に2000年代前半に大量のビジネスモデル特許が出願されたが、その大半は審査の結果拒絶されたとされている。各国特許当局により審査基準の整備などが進むと申請も下火になっていったが、現在でもデジタル広告などの分野では新技術が開発されるとビジネスモデル特許化されることがある。