産業財産権 【industrial property right】 工業所有権
概要
産業財産権(industrial property right)とは、物理的な実体のないものについての権利を認める知的所有権(無体財産権)のうち、企業や経済活動に関わりの深いもの。日本では商標権、特許権、実用新案権、意匠権が該当する。国際的には、1883年にパリで締結された「産業財産権の保護に関するパリ条約」(パリ条約)および、その最新の改正版であるストックホルム改正条約(1967年)によって規定された諸権利のことを意味する。
同条約では「特許、実用新案、意匠、商標、サービス・マーク、商号、原産地表示又は原産地名称及び不正競争の防止に関するもの」(特許庁訳)と規定されている。日本の法制度では前述の4つの権利が含まれるが、海外では名産品の産地表記に関する権利などを保護する国もある。
日本では、明治時代にパリ条約の訳文に「工業所有権」の語が用いられ、一般にも定着したが、2002年の「知的財産戦略大綱」以降、政府公式の文書などでは「産業財産権」の語を用いるようになっている。指し示す概念が変化したわけではなく、両者は同義語である。
(2025.3.3更新)