DTCP 【Digital Transmission Content Protection】
概要
DTCP(Digital Transmission Content Protection)とは、コンピュータやAV機器などを接続してデータを送受信する際、著作権で保護されたコンテンツを暗号化して不正や複製や傍受を阻止するための仕様を定めた規格。当初はIEEE 1394(i.LINK/FireWire)接続を対象としていたが、様々な接続規格に対応するようになった。テレビ受像機などがデジタル化されると、デジタルビデオレコーダーなどとの間でIEEE 1394などのデジタル通信方式で接続されるようになり、再生などのために映像や音声がデジタルデータのまま送受信されるようになった。
このような環境ではアナログ信号を伝送する場合に比べ内容の完全な複製を作りやすいため、著作権で保護された商用のコンテンツなどが不正にコピーされないように、伝送経路を暗号化する仕組みとしてDTCPが考案された。DVDやBlu-ray Discなどの映像作品、デジタルテレビ放送の録画など、複製に制限を課しているコンテンツを扱う場合に利用される。
DTCPではコンテンツの送信側をソース(source device)、受信側をシンク(sink device)と呼び、コピー制限されたコンテンツをソースが発信してシンクが受信・再生できる(シンク側でデータは保存されない)ほか、機器間でコンテンツを移動(ムーブ)することができる。移動したコンテンツは移動元からは削除される。
接続された機器はまず互いに相手が正規のライセンスを受けた機器かどうかを認証し、正しい相手であると確認されると56ビットの暗号鍵の交換が行われる。この鍵を使用してM6と呼ばれる暗号方式によってデータを暗号化して送信し、受信側で復号する。データにはコンテンツのコピー制御情報(複製可、不可、一世代のみ可など)が付加され、受信側での取り扱い方法が指定される。
初期の規格ではIEEE 1394を対象としていたが、USBやBluetoothなど他の通信方式での転送に対応した仕様も用意された。また、家庭内LANなどのIPネットワーク上でのコンテンツの伝送に対応する規格としてDTCP-IPおよび拡張仕様のDTCP+が定義され、DLNA対応機器などの間で使用された。