知的財産権 【知的所有権】 IPR / Intellectual Property Right
概要
知的財産権(知的所有権)とは、人間の知的活動により生み出された創作物など、物理的実体を伴わない財産(無体物)について、その考案者などに法的に認められた財産権のこと。一般的には著作権や特許権、商標権、意匠権、肖像権、営業秘密などが含まれる。大きく分けて、人間の知的活動によって創作された表現に対して認められる「著作権」、商業上有用になりうる情報や標識などに対して認められる「産業財産権」(工業所有権)、この二つに属さないその他の権利に分かれる。
著作権は思想や感情を創作的に表現した者がその表現の利用を独占できる権利で、複製権や上演権、公衆送信権、貸与権、翻案権など様々な権利で構成される。また、音楽などの場合には実演家や記録物の製作者、放送事業者などに著作を利用した実演などに対する「著作隣接権」が認められ、広義にはこれも知的財産権の一種とみなすことがある。
産業財産権は企業などの経済活動に関連する情報などを保護する権利で、発明に認められる「特許権」、有用なアイデアなどに認められる「実用新案権」、工業製品のデザインや特徴的な外観に認められる「意匠権」、営業活動に用いる名称や標識などに認められる「商標権」などが含まれる。
これ以外にも、IC(集積回路)の設計など半導体の回路配置を保護する「回路配置利用権」、品種改良で産み出された有用な植物を保護する「育成者権」、企業の営業上のノウハウや秘密の情報などを保護する「営業秘密」(企業秘密)、著名人の容姿を写した記録物の持つ商業的な価値を保護する(財産権としての)「肖像権」、インターネット上のドメイン名を保護する権利などがある。
産業財産権 (工業所有権)
知的所有権のうち、企業や経済活動に関わりの深いものを産業財産権(industrial property right)あるいは工業所有権と総称する。日本では商標権、特許権、意匠権、実用新案権がこれに含まれる。
国際的には、1883年にパリで締結された「産業財産権の保護に関するパリ条約」(パリ条約)および、その最新の改正版であるストックホルム改正条約(1967年)によって規定された諸権利のことを意味し、「特許、実用新案、意匠、商標、サービス・マーク、商号、原産地表示又は原産地名称及び不正競争の防止に関するもの」(特許庁訳)と規定されている。
日本では明治時代にパリ条約の訳文に「工業所有権」の語が用いられ、一般にも定着したが、2002年の「知的財産戦略大綱」以降、政府公式の文書などでは「産業財産権」の語を用いるようになっている。