LLMNR 【Link-Local Multicast Name Resolution】
概要
LLMNR(Link-Local Multicast Name Resolution)とは、Windowsネットワークでホスト名とIPアドレスの対応関係を探索する仕組みの一つで、ローカルネットワークに限定してサーバを用いずに名前解決を行うもの。DNSやWINSが利用できない環境で名前解決ができる。あるホスト名を持つコンピュータのIPアドレスが知りたいとき、ブロードキャスト通信で問い合わせをローカルネットワークに一斉配信する。そのホスト名を持つコンピュータは自分のIPアドレスを送信元に返信する。
問い合わせはルータを超えて転送されることはなく、ブロードキャストが届く範囲のホスト名の解決しかできない制約がある。IPv6ではブロードキャストが使えないため、代わりにマルチキャスト通信を利用する。問い合わせや応答のデータ形式はDNSの仕様を踏襲している。
Windowsでネットワーク上のホスト名から対応するIPアドレスを割り出すには、情報を管理するDNSサーバやWINSサーバに問い合わせるか、管理者があらかじめ対応関係を設定ファイル(hostsファイルやLMHOSTファイル)に記述する必要があるが、LLMNRを利用すればクライアントのみで動的な名前解決を行うことができる。
米マイクロソフト(Microsoft)社が開発し、Windows VistaおよびWindows Server 2008から実装し始めた機能で、仕様はIETFによってRFC 4795として公開されている(が、標準化には至らなかった)。トランスポート層にはUDPが用いられ、標準では5355番ポートで通信する。後に同様の機能を実現する「mDNS」(マルチキャストDNS)が開発・標準化され、近年ではWindowsもLLMNRからmDNSに移行することが発表されている。
(2023.4.6更新)