Kerberos

概要

Kerberosとは、ネットワークを通じてコンピュータ間で利用者認証う方式の一つ。複数のサーバで共通の認証情報を利用することができ、通信経路を暗号化して認証情報を安全に送受信することができる。シングルサインオン(SSO)を実現する方式として普及している。

Kerberosは利用者の手元のクライアントからネットワークを通じてサーバアクセスする際に、利用者の身元や本人確認をう仕組みである。一度認証に成功すれば、認証サーバと連携する他のサーバの資源にもアクセスできるようになる。

利用者IDパスワードなどの認証情報は認証サーバ(KDC:Key Distribution Server)により一元的に管理し、KDCに認証されたクライアントには各サーバで利用できる「チケット」(ticket)と呼ばれるデータが発行される。各サーバ利用者が提示したチケットを確認し、アクセスを許諾する。

Kerberosではパスワードから一定の手順により生成した暗号鍵により、クライアントサーバ間の通信暗号化する。これにより、通信経路上で攻撃者がやり取りを覗き見したとしても、事前にパスワードを入手していない限り通信内容を復元して重要な情報を取得することはできない。

KerberosはLinuxなどのUNIX系OSクライアントサーバ型ウィンドウシステムを提供する「X Windows System」のために考案された認証方式で、マサチューセッツ工科大学(MIT)のAthenaアテナプロジェクトにより開発された。

その後、米マイクロソフトMicrosoft)社のWindows ServerおよびActive Directory、米アップルApple)社のmacOS(旧Mac OS X)の認証方式としても採用され、広く普及している。また、インターネット技術の標準化を推進するIETFInternet Engineering Task Force)により、Kerberosバージョン5がRFC 1510として標準化(RFC 4120によって更新)されている。

名称の “Kerberos” はギリシャ神話の冥界の神ハデスに仕える3つの頭を持った番犬で、冥界の入口で門番の役割を果たしていたとされる。日本ではギリシャ語読みにならって「ケルベロス」と呼ばれるため、この認証方式のこともケルベロスと呼ぶのが一般的だが、英語では「カーバラス」に近い発音となる。

(2024.1.11更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事を参照している文書など (外部サイト)

  • 経済産業省委託調査 日本情報処理開発協会(JIPDEC)電子商取引推進センター/電子商取引推進協議会(ECOM)「属性認証ハンドブック外部リンク」(PDFファイル)にて参照 (2005年2月)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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