SIP 【Session Initiation Protocol】
概要
SIP(Session Initiation Protocol)とは、TCP/IPネットワーク上の複数の地点間で固定的な通信路(セッション)の確立や切断などを行うためのプロトコル(通信規約)の一つ。主に音声通話のような双方向のリアルタイム通信を行うために用いられる。通信相手との接続の確立や切断などの制御を行う方式を定めており、接続後の通信路で流れるデータの種類や制御には関知せず、他のプロトコルが併用される。音声をやり取りすれば通話(IP電話)に、映像付きの音声を流せばテレビ電話・テレビ会議に、文字メッセージを流せばチャットやインスタントメッセージになる。
SIPで発信や着信を行う利用者はSIP URI(Uniform Resource Identifier)と呼ばれる固有の識別名で各々を区別する。「sip:ユーザー名@ドメイン名」というメールアドレスに似た記法で表される。メールアドレスと同じように、一つのURIを個人や端末に紐づけて運用することも、複数の人や端末のグループに対して割り当てて代表アドレスのように共有することもできる。
SIPによる接続は相手方のIPアドレスを直に指定して直接開始することもできるが、SIPサーバへ相手のSIP URIを送信して問い合わせを行い、探索や呼び出しを行って接続するという手順が利用できる。
これにより、相手の端末がどのネットワークに接続していても探し出して呼び出すことができる。接続確立後の通信にはSIPサーバは関与せず、各端末はサーバやクライアントなどの役割の区別なく対等な立場で相互にデータを送受信する。
SIPはH.323に代わるIPネットワーク上における汎用のシグナリングプロトコルとして開発され、1999年にIETFによってRFC 2543として最初の規格が標準化された。2002年にはRFC 3261に全面的に改訂され、その後も部分的な改訂や拡張がいくつも発行されている。
(2018.5.23更新)