シソーラス【thesaurus】
概要

収録内容は類義語や同義語が中心だが、反意語や上位語、下位語、関連語などを含むものも多い。語と語の関係を意味の観点から整理しており、五十音順に並べた一般的な辞書とは構成の考え方が異なる。医学や法学といった専門分野では、用語を統一的に扱うための統制語彙として標準化されたシソーラスが制作されている。
ITの分野では、システムが内部的に使用する語彙の同義語や表記の揺れ、語の関係を記録したデータベースを類語辞典になぞらえてシソーラスと呼ぶことが多い。全文検索システムでは、利用者が入力した検索語と同じ意味を持つ別の語句も同時に検索することで、表記の違いによる取りこぼしを減らす処理に利用される。商用の検索エンジンでは独自のシソーラスを作成・運用している場合が多い。業務システムやデータベースでも、データ項目の同義語を登録し、様々な表記での検索に対応する仕組みとして用いられる。
自然言語処理(NLP)の分野では、語の意味を扱う基盤的な資源として研究者らが長年にわたってシソーラスを整備・拡充してきた。英語圏では「WordNet」が代表的であり、語を意味のまとまりごとに整理し、階層関係や類義関係をネットワーク構造で表現している。日本語向けには「日本語WordNet」や「分類語彙表」などが存在する。近年では大量の文章データから語同士の関連性を学習する「Word2Vec」や「BERT」のような手法が普及し、シソーラスへの依存度は以前より低下しているが、説明可能性が求められる場面や学習データが少ない専門領域では、構造化された語彙知識として参照される。
(2026.5.21更新)