SECIモデル 【SECI model】
概要
SECIモデル(SECI model)とは、組織における知識の創造過程を4つのプロセスの循環として表したモデル。野中郁次郎氏らが考案したもので、ナレッジマネジメントの基礎となる理論として知られる。従業員など個人が暗黙的に蓄えている「暗黙知」を出発点として、「共同化」(Socialization)、「表出化」(Externalization)、「連結化」(Combination)、「内面化」(Internalization)の4つの過程を経ることで、知識を形式知化して組織的に蓄積し、他の個人が暗黙知として体得できるようになるとする。「SECI」は4つのプロセスを表す英単語の頭文字を順に繋げたものである。
「共同化」は暗黙知を暗黙知のまま他の個人に移転、共有するプロセスで、先輩と後輩が一緒に同じ業務を行うなど共通の経験、体験を経ることで、暗黙的な知識や技能が共有される。「表出化」は暗黙知を形式知として記述するプロセスで、共通の暗黙知を持つ集団による対話や議論を経て、言語や図表などの形で形式知として記録する。
「連結化」は表出した形式知を組み合わせて新たな形式知を創造するプロセスで、データベースなどの形で整理された形式知を繋ぎ合わせて体系化したり、新しい知を生み出す。「内面化」は連結化された総合的な知の体系を個人が暗黙知として体得するプロセスで、行動や実践、経験を通じて身体化することが重要であるとされる。
このプロセスは一度行って終わりではなく、循環的に継続して行うことで、組織的な知識の創造、蓄積、発展が進み、同時に集団内での伝達、共有が滞りなく行われる。集団内でそれぞれのプロセスが実践される「場」のデザインが重要であるとされる。
SECIモデルは野中氏が一橋大学教授だった1990年に著書「知識創造の経営」で初めて提唱したもので、1991年には世界的に有名なハーバード・ビジネス・レビュー誌に “The Knowledge-Creating Company” として寄稿された。1995年には同名の英書が出版され、世界で知られるところとなった。