通信の秘密 【confidentiality of communications】 secrecy of correspondence / secrecy of communication
概要
通信の秘密(confidentiality of communications)とは、個人間で交わされる通信(信書、通話、電子データの送受信など)が、公的機関による覗き見や傍受、盗聴、監視などから保護されること。個人間の通信について知り得た内容を第三者に提供することからの保護も含まれる。通信内容の秘密だけでなく、通信の有無や構成(通信相手、日時、場所など)の秘密を含む。一般的には公権力が個人を監視する手段として電気通信の傍受、盗聴、信書の開封などを行うことを禁じる法律上の規定のことを指すが、個人や企業、民間団体などに課される同様の義務を含む場合もある。現代では先進国を中心に多くの国で通信の秘密を保証する法制度が存在するが、米国のように明文の規定がない国もある。
日本では憲法第21条第2項で「通信の秘密は、これを侵してはならない。」との規定があり、政府や一般の法律に対して通信の秘密を保障するよう求めている。また、電波法では個人に対して通信電波の傍受や内容の漏洩を禁じており、電気通信事業法では通信事業者などに通信の秘密の遵守を求めている。
なお、犯罪捜査のための郵便物の押収や通話、通信の傍受などは例外的に認められると考えられ、郵便法や通信傍受法などの関連法規にも条件や手続きなどが規定されている。2000年代以降にはインターネット上で行われる違法行為にどの程度介入すべきかについて議論が交わされ、インターネット接続事業者(ISP)によるファイル交換ソフトの遮断、迷惑メール送信の遮断などの措置は適法との見解を総務省が発表している。
(2024.1.18更新)