LZH 【.lzhファイル】
1988年に吉崎栄泰氏が開発したフリーソフト「LHA」で採用された圧縮方式で、主にMS-DOS環境で広く普及した。仕様が公開されたため他のソフトウェアも対応し、当時のMac OSなど他の環境でも利用された。
辞書圧縮の一種であるLZSS方式で圧縮したデータを、エントロピー圧縮の一種であるハフマン符号によりさらに圧縮することで高い圧縮率を得ることができる。内部的には、無圧縮のlh0と、最初に定義されたlh1、lh1を改良し辞書圧縮時のパラメータ(最大一致長など)が異なるlh4~7の全6種類の形式が定義されており、ファイル先頭のデータで識別できる。
ハードディスクは高価で容量が少なく個人用途ではほとんど普及していない時代で、フロッピーディスクなどにできるだけたくさんのデータを記録するため頻繁にデータの圧縮・伸長が行われた。また、1990年代半ば頃にはパソコン通信が普及し始め、当時の電話回線での低速なデータ通信(数キロビット毎秒程度)で画像やプログラムを交換するためにもLZH圧縮が広く利用された。
Windowsやインターネットが普及すると、オリジナルのLHA/LZHの開発が停止したこともあり、ZIP形式やRAR形式、CAB形式など世界的に普及している標準的なデータ圧縮方式が次第に主流となり、LZH形式は古いデータを読み出す互換性維持の目的以外ではほとんど利用されなくなった。
LHA (LHarc)
1988年に吉崎栄泰氏が開発・公開した、LZH形式でファイル圧縮・伸長を行うためのソフトウェア。MS-DOSで動作するフリーソフトとして無償で公開された。
当初は「LHarc」という名称だったがLHAに改称された。「ラー」という読みが正式とされ、初期にはそのように呼ばれることもあったが、日本では後に普及した「RAR」形式と混同しやすいこともあり、「エルエイチエー」と呼ぶことが多い。
圧縮符号化だけでなく複数のファイルやディレクトリ(フォルダ)をファイルシステム上の階層構造を保ったまま一つのファイルに保存することができるアーカイバ(archiver)の役割もあり、古いファイル群の保管(バックアップ/アーカイブ)や、記録メディアやデータ通信によるデータやプログラムの配布・交換などの用途でも広く用いられた。