ドリルダウン【drill down】

ビジネスの現場では、売上や顧客数などの集計データを分析する際によく用いられる。例えば、全国の月間売上合計を出発点として、地域別、都道府県別、店舗別と順に細分化していく流れがこれにあたる。最初は全体像だけが見えており、操作を重ねるごとに内訳が明らかになる。
利用者はこの「深堀り」していく過程で、どの部門や地域が数値全体に影響を与えているかを把握しやすくなる。合計値や平均値としてまとめられ、一見して不自然な点の見られないデータ群の中に、よく見ると極端に低い数値や高い数値が潜んでいることは少なくなく、その所在を絞り込む際に効果を発揮する。
この操作を実現するには、あらかじめデータが階層構造として整理されていることが前提となる。時間であれば年度、四半期、月、日、組織であれば本社、事業部、課、担当者といった親子関係をデータベース上で定義しておくことで、システムは利用者の選択に応じて下位の情報を即座に抽出して表示できる。
ドリルダウンの機能は表計算ソフトやBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)、業務システムの管理ダッシュボードなどに広く実装されており、グラフの一部をクリックすると内訳が表示される機能や、階層項目を展開して詳細を確認する機能がこの考え方に基づいている。専門的な操作を必要とせず、クリックやタップだけで階層を移動できる設計が一般的である。
データ分析にとどまらず、Webサイトのカテゴリ階層をたどるナビゲーションや、ファイルシステム上でフォルダを順に開いてファイルを探す操作など、階層的に整理された情報を段階的にたどる場面全般でも同様の概念として用いられる。これとは逆に、細かい階層から上位の集計値へ戻る操作は「ドリルアップ」(drill up)という。