ナレッジマネジメント 【knowledge management】 KM

概要

ナレッジマネジメント(knowledge management)とは、一人ひとりの従業員の持つ業務上有用な知識を部門内や組織全体で蓄積・共有し、従業員の能力の向上や業務の効率向上に繋げる手法。単なる情報共有・伝達ではなく、各自が持つ暗黙知の形式化と共有を推進する。

特に、データや情報などの形で表出しやすい形式知だけでなく、経験則やノウハウ、知恵、コツ、工夫、アイデアなどといった言葉や数値などの形に表しにくく、従来は個人が経験によって積み上げる形で獲得してきた「暗黙知」と呼ばれる種類の知識を組織的に活用しようとする試みのことを指す。

歴史的には製造業における改善活動のようなチーム内での業務改善のためのディスカッションなどの活動を含むが、現代では様々な職場で汎用的に利用されるコンピュータシステムを用いた知識活用の仕組みのことを指すのが一般的である。

典型的な事例としては、従業員の営業日報や業務上の気付きのような文章をデータベースシステムに入力・蓄積していき、経営層や管理職が特に有用と認めたものを他の従業員へ共有したり、部門横断的に閲覧や検索ができるようにするといった手法が挙げられる。

単にシステムを形だけ整えても従業員の間に意味のある形で定着させることは難しく、何が有用な知識なのか判断ができず活用しようのない無駄なデータの蓄積に終わったり、業務としての位置づけや意義の共有などが曖昧で取り組みへの不満や徒労感が募ったり、自らの地位や業績のために知識の共有に消極的な社員が現れたりといった問題が起きやすい。適切なインセンティブの付与など社内の制度や文化、仕組みを含めた改革が必要となる。

(2018.4.11更新)

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試験出題履歴

ITパスポート試験 : 平27春 問29

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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