NGN 【Next Generation Network】
概要
NGN(Next Generation Network)とは、インターネットと同じIP(Internet Protocol)を基盤とするデータ通信技術を用いて構築された公衆交換電話網(加入電話網)。日本ではNTT東日本・NTT西日本がフレッツ光ネクストのために構築・運用している新世代のネットワーク基盤を指すことが多い。交換機による回線交換方式を基盤とするアナログ電話回線網(PSTN:Public Switched Telephone Networks)を置き換えるもので、IPネットワーク上で各種の通信サービスを統合して提供する。単一のアクセス回線および基幹ネットワークを通じて、音声通話(電話)、インターネット接続、テレビ放送を統合して提供するトリプルプレイ(triple play)サービスを可能とする。
仕様上は携帯電話/移動体データ通信、光ファイバー回線、メタル回線など異なる伝送媒体のアクセス回線に統一的な方法で通信サービスを提供することができる。固定系と移動系のサービスを統合した「FMC」(Fixed Mobile Convergence)、および、これに放送を統合した「FMBC」(Fixed Mobile and Broadcasting Convergence)のサービス基盤とすることができる。
ただし、日本ではNTTグループの固定系(NTT東日本・NTT西日本)と移動系(NTTドコモ)は規制により分離されているため、NTTのNGNはアクセス網として光ファイバー回線のみを想定して構築されている。
技術的にはインターネットと同じIPや各種のIPベースの通信技術を用いたTCP/IPネットワークだが、全体を単一の通信事業者(例えばNTT)が所有・運用する閉域IP網であり、インターネットそのものとは切り離されている。NGN内で閉じたサービスであれば、高い信頼性やセキュリティを確保し、サービス品目や契約に基づくQoS(Quality of Service:通信品質)の保証などを受けることができる。
インターネットへは網間インターフェース(NNI:Network-Network Interface)を通じてプロバイダ(ISP)のネットワークへ接続する方式を取り、個々の加入者が通信事業者とは別にISPと契約して接続する形となっている。
NGNの技術仕様はITU-T(国際電気通信連合・電気通信標準化部門)のY.2000番台などとして標準化されているほか、IP上での音声通話の制御を行うSIP(Session Initiation Protocol)などTCP/IP関連の仕様はIETFの策定した標準規格が参照される。また、様々なサービスを提供するための共通仕様として、もともと第3世代携帯電話(3G)のIPネットワークのために開発されたIMS(IP Multimedia Subsystem)/MMD(Multimedia Domain)が用いられる。
日本ではNTT東西が2008年にフレッツ光ネクストの名称でNGNを基盤とする加入者向けのデータ通信サービスを開始した。光ファイバー回線によるFTTHサービスで、光IP電話(ひかり電話)、ISPを経由したインターネット接続、テレビ放送波の再送信サービス(フレッツ・テレビ等)のトリプルプレイサービスが提供されている。KDDIやソフトバンクもNGNに相当する通信網のIP化を進めているが、NGNの呼称は用いていない。