新電電 【NCC】 New Common Carrier
概要
新電電(NCC)とは、1985年(昭和60年)のいわゆる通信自由化を機に新規参入した第一種電気通信事業者(当時)の総称。主に1980~90年代に用いられた用語である。通信自由化に伴う制度改正により、当時の日本電信電話公社(電電公社)が日本電信電話株式会社(NTT)に民営化され、自ら設備を所有して通信サービスを提供する「第一種電気通信事業者」という事業者区分が誕生した。これにより、自前設備を持ついくつかの新しい通信事業者が参入した。
新電電と称されるのは主に自由化直後に参入した第二電電(DDI、現在のKDDI)、日本テレコム(JT、現在のソフトバンク)、日本高速通信(TWJ/テレウェイ、現在のKDDI)の3社だが、これ以外に電力系地域通信会社(東京通信ネットワーク、中部テレコミュニケーション、大阪メディアポートなど、いずれも当時)を含めることもある。
また、1990年代以降は外資系の通信事業者(ワールドコムジャパン、BTジャパンなど)やケーブルテレビ(CATV)・有線放送系の通信事業者(ジュピターテレコム、大阪有線放送など、いずれも当時)なども参入し、NTT以外の国内の固定系通信を扱う事業者の総称のように使われることが増えた。
一方、ポケットベル(当時)や携帯電話に代表される無線系の新規参入事業者が本格的に事業を展開するのは1990年代後半以降のことで、その頃にはすでに新電電という区分が意識されることは減ってきていたため、無線系の通信事業者は新電電に含めないことが多い。
このような事業者の区分は日本の通信業界およびその歴史的経緯に固有であるため、「NCC」「New Common Carrier」といった英語表現は一種の和製英語のようなものであり、注釈無くそのまま用いても海外では理解されないため注意が必要である。
(2024.1.16更新)