IP電話 【IP phone】 IPフォン / IPテレフォニ / IP telephony
概要
IP電話(IP phone)とは、インターネットなどのTCP/IPネットワーク上で提供される電話サービス。音声信号をデジタルデータ化し、相手側の端末とIP(Internet Protocol)ベースの通信技術で送受信して通話を行う。広義にはVoIPを利用する企業の内線電話のようにIPネットワーク上で音声通話が可能なシステムやサービス全般を指すが、狭義には従来の加入電話(PSTN/公衆交換電話網)と互換性を持ち、相互接続して発着信・通話が可能な音声通話システムを指す。特に、通信事業者が加入者にデータ通信回線を経由して提供する電話サービスを指す場合が多い。
IPはインターネットおよび家庭や事業所内のLAN(構内ネットワーク)のデータ通信を行うための標準の通信規約(プロトコル)として広く普及しており、Webや電子メールなどのデータの送受信のための基盤として用いられている。
IP電話はこれを利用して従来の電話のような通話を行うもので、SIP(Session Initiation Protocol)やRTP(Real-time Transport Protocol)など複数の規格を組み合わせ、相手先の識別や指定、発呼や切断などの制御、音声信号とデジタルデータの相互変換、音声データのリアルタイム伝送などを行う。
IP電話サービス
多くの電気通信事業者が加入電話網に接続されたIP電話サービスを一般加入者向けに提供している。ADSLやFTTH(光ファイバー)、CATV(ケーブルテレビ)回線などのいわゆるブロードバンド通信サービスの付加サービスとなっていることが多い。日本では電気通信役務の一部に位置づけられる。
従来型の固定電話サービスより料金が安く、アナログ電話回線を別途用意しなくてもインターネット接続用のデータ回線で電話サービスに加入できるため、転居や新規加入時に選択されることが多い。
加入者には固有の電話番号が割り当てられ、回線の終端装置に電話機を繋いで加入電話と同じように使用することができる。同じ事業者の別の加入者へは無料や割安で通話できる場合が多く、他サービスの加入者(アナログ電話やISDN、携帯電話、国際電話など)へも公衆網を介して接続できる。
IP電話専用の番号体系として「050」で始まる050番号が用意されているが、緊急通報やフリーダイヤルへかけられないなどの制約がある。アナログ電話と遜色ない通話品質や110番、119番などへの発呼が可能などの技術的な要件を満たしたサービスには加入電話と同じ0AB~J番号が割り当てられることになっており、光ファイバー回線を用いた光IP電話サービスなどで提供されている。
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 総務省 東北総合通信局「沿岸海域における効率的なワイヤレスブロードバンドシステムの技術的条件に関する調査検討会 報告書」(PDFファイル)にて引用 (2010年3月)