電気通信事業法
概要
電気通信事業法とは、回線などの設備を恒久的に設置して契約者に通信サービスを提供する電気通信事業について規定した法律。1984年(昭和59年)の通信自由化に伴い、それまでの公衆電気通信法に代わり新たに制定された。第一章の総則では法律の対象となる電気通信や設備、役務、事業者などの定義、憲法に定める検閲の禁止や通信の秘密の保護などを規定している。法律上の「電気通信」には金属線に電気信号を流す方式だけでなく、光ファイバー通信、電波による無線通信も含まれる。
第二章では事業者の義務や総務省への登録制度、契約者との関係、禁止行為、ドミナント規制(指定電気通信設備制度)、電気通信主任技術者と指定試験機関、通信設備や端末の規定、電話番号(電気通信番号)、技術基準適合認定制度(技適)、ユニバーサルサービス制度(基礎的電気通信役務)、サイバー攻撃対策(認定送信型対電気通信設備サイバー攻撃対処協会)などについて定めている。
第三章では事業者の認定制度および認定事業者による通信設備設置・運用のための土地利用などに関する規定、第四章では電気通信紛争処理委員会と事業者間の紛争処理の取り決め、第五章では雑則、第六章では罰則をそれぞれ定めている。
1984年に電気通信事業法および日本電信電話株式会社法(NTT法)が制定され、電電公社・国際電電の民営化(それぞれNTT・KDDへ)と、いわゆる第二電電(NCC)の参入による通信自由化が実現した。現在では電気通信事業法はISPやMVNOなど自前の固定設備を持たない事業者も含めほとんどの通信事業者に何らかの形で効力が及ぶ。
NTT持株会社、NTT東日本、NTT西日本については電気通信事業法の他に、現在でもNTT法による規制を受ける。また、電波を利用する移動体通信事業者(携帯電話会社)や衛星通信事業者などは電波法の規制も受ける。
(2021.9.29更新)