責任分界点 【demarcation point】 demarc / point of demarcation

概要

責任分界点(demarcation point)とは、複数の主体の間で設備を接続したり貸与する際に、各主体の責任が及ぶ範囲を切り分ける境界のこと。電気設備や通信回線、クラウドサービスなどでよく用いられる概念である。

電力網や通信網など、様々な運営主体の設備を相互に結んで成立しているネットワーク型の社会インフラでは、相互接続する事業者間や、事業者と加入者の間で取り決めを交わし、設備の接続箇所にある特定の機器や配線、端子などを責任分界点に定める。これを境に、何か起こったときに責任を負う主体が決定される。

クラウドサービスなど事業者の設備を加入者に貸与したり利用させる契約でも、事業者が運用の責任を負う範囲と加入者自身の責任で運用する範囲の境界を責任分界点という。例えば、アプリケーションを加入者に利用させるSaaS型のサービスでは全体がクラウド事業者の責任範囲だが、ハードウェア資源のみを貸与するIaaS型のサービスでは、物理サーバおよび仮想化基盤とオペレーティングシステム(OS)の間が責任分界点となり、ソフトウェア側は加入者の責任となる。

(2023.5.6更新)

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