FAX 【facsimile】 ファクシミリ
概要
FAX(facsimile)とは、電話回線を用いて遠隔地間で画像を送受信するシステム。特に、公衆回線の末端に専用の機器を接続し、書類などの原稿を読み取って相手の機器に送信、相手側で受信して印刷することができるもの。専用の機器(FAX機)のことをFAXということもある。FAX機は光学式の読み取り装置によって原稿を白黒の点の集合としてデータ化し、これを音声信号に変換して相手方のFAX機に送信する。信号を受信したFAX機は内蔵された印刷装置で紙にこれを印刷し、利用者に受信したことを知らせる。
近年では、受信した画像を内蔵メモリなどに記録し、印刷せずに液晶画面などで確認できるようにした製品などもある。また、インターネットやパソコンなどでFAXを利用できる機器やサービスなどもあり、専用のFAX機と電話回線(公衆交換電話網)の組み合わせ以外でも利用できるようになっている。
歴史
1980年に最初の規格が標準化され、広く普及したのは「G3 FAX」と呼ばれる規格である。日本を含む先進国で1980年代に普及し、当時のアナログ電話回線を用いてA4原稿1枚あたり1分程度(読み取りと印刷にかかる時間を含めると数分かかる)で伝送できた。
遠隔地間で書類を物理的に運ばなくても共有できる仕組みとして広く社会に受け入れられた。1990年代にはISDN回線を用いる高精細で高速な「G4 FAX」規格も策定されたが、ISDN回線があまり普及しなかったため受け入れられず、現在でもほとんどの機種がG3対応型となっている。
21世紀になりインターネット時代を迎え、電子メールなど電子的な伝達システムが普及した後も、主に官公庁を中心に文書を配達、周知、共有する仕組みとして使われ続けた。伝送方式こそデジタルだが、受信した書面の内容をデジタルで管理できるわけではなく、本質的には紙媒体に依存したアナログツールであるため、社会や行政のデジタル化を妨げる原因としてしばしば槍玉に挙がる。
(2023.2.5更新)