読み方 : シーエスエーセルプ

CS-ACELP 【Conjugate Structure Algebraic Code Excited Linear Prediction】 G.729

概要

CS-ACELP(Conjugate Structure Algebraic Code Excited Linear Prediction)とは、IP電話で標準的に用いられる音声信号の符号化方式の一つ。32kbpsのADPCM音声と同程度の品質の音声を8kbpsのデータに圧縮することができる。
CS-ACELPのイメージ画像

元になったCELP方式では、短い音声信号のパターンの集合を「コードブック」として定義する。音声を符号化する際は短く区切った信号をコードブックに記載されたパターンと比較し、最も近いパターンの番号を記録する。再生時にはコードブックを参照して、記録されている番号に対応するパターンを繋ぎ合わせていく。

CS-ACELPでは二つのコードブックを用い、二つのパターンの組み合わせとして信号を表現する。単純に一つのコードブックのパターンを記録する従来方式に比べ、転送時の伝送誤りに強く、圧縮時のコードブック展開のために必要なメモリ容量や計算回数を減らす効果があるとされる。

CS-ACELPのコードブックは10ミリ秒の信号パターンを記録しているため、圧縮時には10ミリ秒(0.01秒)分の信号を取得する必要がある。すなわち、発話から相手方での再生までに必ず10ミリ秒以上の遅延が生じることになる。遅延が大きな問題になるような用途ではCELP系ではなくADPCM系の技術を使うなどの工夫が必要となる。

CS-ACELPはNTTが開発してITU-Tに提案した方式で、同時期にフランスから提案された似た方式であるCEPTと統合され、1996年にG.729として標準化された。音声通話に適したデジタル方式の符号化方式として広く普及しており、IP電話システムの多くが標準で対応している。

(2025.8.7更新)

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