ユニバーサルサービス 【universal service】
概要
ユニバーサルサービス(universal service)とは、全国どこでも誰に対しても一律にほぼ同じ価格や条件、品質、品目で利用できるサービスのこと。生活に不可欠なサービスとして、国民全般に公平かつ安定的に提供されるべきサービスを指す。何がユニバーサルサービスとみなされるかは国や時代によって異なるが、例えば現代の先進国なら電気やガス、上下水道、電気通信(電話やインターネット)、郵便、放送などが該当する。日本の保健医療や介護など、医療やヘルスケアの一部もユニバーサルサービスとすることが多い。
ユニバーサルサービスは公平性が重視され、地域などによらずどこでも、職業や収入・財産、家庭環境などによらず誰でも、均一な負担で、均一なサービスを受けられる必要がある。公平性を担保するために公的な資金で利用者や事業者を補助する制度が設けられる場合もある。
サービスの提供主体は国や自治体など公的な機関であることが多いが、先進国では経済の成熟が進むに連れ、事業主体が民営化されたり、市場が民間に開放され企業などが参入する例が増えている。民間が事業主体となる場合には、営利のために地域や顧客層によってサービス内容や価格に著しい格差が生じないよう、特別な法律により一定の規制が行われることが多い。
日本でも、旧電電公社の民営化や郵政民営化に際し、ユニバーサルサービスの維持に関する議論が大きく注目された。通信業界ではNTT地域会社の過疎地域でのサービス維持のために他社へ応分の負担を求める「ユニバーサルサービス基金制度」が創設・運用されている。
ユニバーサルサービス料 (ユニバーサルサービス基金制度)
NTT地域会社(東日本・西日本)が全国一律の電話サービスを維持するため、過疎地など採算性の低い地域で生じる赤字を他の通信事業者が拠出した資金で賄う仕組み。正式名称は「基礎的電気通信役務基金制度」。2002年6月に導入され、2006年に初めてNTT東西が制度の利用を申請した。
加入電話、公衆電話、110番や119番などの緊急通報の3つの基本的な通信サービスは「ユニバーサルサービス」(全国民が同じ条件で利用できるようにすべき公共的なサービス)と位置付けられ、NTT東日本と西日本は日本全国で均一の条件でこれを提供することが義務付けられている。
これまではNTT東西の負担によってこれを維持してきたが、通信自由化や新しい通信サービスの登場、主に都市部における競争の激化などにより、不採算地域でのユニバーサルサービスの維持が難しくなる懸念が出てきた。このため、不採算地域でのこれらサービス維持のためのコストをすべての電話会社で応分に負担するために基金制度が創設された。
基金への負担金を拠出する電話会社は、NTT東西の電話網と接続している会社で、前年度の電話事業の収益が10億円以上あり、総務省から電話番号の割り当てを受けて利用者にこれを使わせている事業者である。
負担金の額は、2007年1月から電話番号1つにつき月額7円と決まった。料金は毎年見直され、2021年には同3円となっている。これら負担金は「基礎的電気通信役務支援機関」に指定された社団法人電気通信事業者協会(TCA)を通じて、NTT東日本・西日本に支払われる。