IMS 【IP Multimedia Subsystem】 MMD / Multimedia Domain
概要
IMS(IP Multimedia Subsystem)とは、全体がIP化された通信事業者のネットワークにおいて、映像や音声など様々なメディアを利用したサービスを提供するための技術仕様を定めた規格。3G/4G移動体通信ネットワークや固定系のNGNなどで利用される。IP(Internet Protocol)はインターネットでも利用されるプロトコル(通信規約)の標準で、これを用いて通信事業者(キャリア)の基幹ネットワークから加入者へのアクセス回線や端末までの全体を統一的に運用するIP化が進められている。
IMSはIP化されたネットワーク上で様々な通信サービスを提供する際、異なるサービス間で共通して必要となる仕様を標準化したもので、セッション制御(加入者の識別やサービスへの接続・切断など)、通信品質や優先度を保証するQoS(Quality of Service)制御、課金管理などの標準的な方式を定めている。
IMSでサービス基盤を構築することにより、これらの機能のために毎回個別に仕様策定や開発を行なったり、事業者やサービス、機器ごとに互換性のない仕様が乱立するのを避けることができる。サービスを迅速、低コストに投入できるようになり、同種のサービスについては事業者やネットワークを横断して提供したり、相互に接続して通信できるようになる。
IMSの規格は第3世代携帯電話(3G)の標準化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)が策定し、2002年に最初の仕様が発行された。3GPPとは別にCDMA2000などの3G規格の策定を行なっていた3GPP2でも同じ仕様を採用し、MMD(Multimedia Domain)の名称で標準化している。
音声通話も含めオールIP化された携帯電話/移動体データ通信網への適用を想定して考案された規格だが、ネットワーク層以上の仕様についての規定であり、下層の物理的なネットワーク構成には依存しない。このため、NGN規格の一部にも採用され、FTTH(光ファイバー回線網)など固定系の通信サービスや、固定系と移動系を融合したFMC(Fixed Mobile Convergence)サービスでも活用されている。